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温泉療法 心身癒やし治癒力高める

温泉療法を指導する川上院長(左)

 温泉を使い、自然治癒力を高める温泉療法。転地療養による気分転換作用もあり、アトピー性皮膚炎、腰痛、うつ病などに有効だ。同療法について、岡山県内外の患者治療に生かしている湯原温泉病院(真庭市下湯原)の川上俊爾院長に聞いた。

 温泉療法は、天然の化学物質が溶け込んでいる水を利用した治療法の一つ。日本温泉気候物理医学会認定の温泉療法医でもある川上院長は(1)温熱(2)浮力(3)水圧(4)溶存物―を挙げ「医療上の効果がある」と説明する。

 (1)は、入浴で体温が上昇し、全身の血管が広がって血行が良くなり、各種疾病からの回復を早める。(2)は、湯の中では浮力によって体重が10分の1程度となり、歩行訓練が容易にできる。(3)は、湯による流体抵抗が運動負荷となり、筋力増強に有効。(4)は、温泉に含まれている二酸化炭素、硫黄といった成分が保温効果などをもたらす。

 泉質により異なる効能があり、豊富なアルカリ性単純温泉のある同病院は、アトピー性皮膚炎の治療に適している。「アトピーの治療では、皮膚を清潔に保ち刺激しないことが重要。当院の湯はアルカリ性のため、漬かるだけで角質化した皮膚を乳化させて溶かし、再生を促す」といい、副作用のあるステロイド剤に頼らない治療を目指している。

 神経痛、腰痛、肩こりのほか、温泉のリラックス効果で自律神経失調症、うつ病などにも効果がある。「温泉浴は新陳代謝を高め、老廃物の排せつを促進する。ホルモン、自律神経の働きを調整し、病気の予防、リハビリテーションにも有効です」

 同病院では、脳卒中や交通事故の後遺症、変形性膝(しつ)関節症、慢性関節リウマチなどに悩む患者が1カ月をめどに入院。3コースを備えたプール(長さ20メートル、幅8メートル)での歩行、ジャグジー、ジェットバスを利用した温泉療法に、理学療法、作業療法を組み合わせ、機能回復を図る。

 「温泉療法は薬物療法や手術と競合するものではなく、相互に補い合う治療法。わが国では古来、湯治が行われてきた。ストレスのある環境を離れ、温泉で心身を癒やし、自然治癒力を高めてほしい」と呼び掛ける。

 湯原温泉病院(0867-62-2221)では、温泉旅館と人間ドックを連携させた1泊2日の「湯けむりドック」も実施している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年03月22日 更新)

タグ: 健康

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