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(2)その肩の痛み、あきらめていませんか? 岡山旭東病院整形外科主任医長 江草真

江草真氏

 肩の痛み、コリはよくある症状です。五十肩だからと放っておいてもよいでしょうか? 実は治らない五十肩もあります。また五十肩も治し方を間違えると治るのが非常に遅くなってしまいます。

 五十肩=図1、2

 肩の痛みの代表です。肩の違和感から始まり、夜間の痛みが出現するようになり(炎症期)、腕の動きが悪くなります(拘縮期)。それを過ぎると腕がまた動くようになっていきます(緩解期)。必ず治るものですが、治し方を間違えると痛みが引くまでに2~7年かかる人もいます。

 治療法

 痛みが落ち着くまで安静にするのが一番です。痛みがあるのに無理に動かすと余計に悪くなります。痛みがひどく、寝られない場合は我慢せず肩の注射や薬で痛みを改善させると早く治ります。血糖値が高い人(糖尿病)は治りにくいです。糖尿病をしっかり治療することにより痛みが改善します。

 【治らない肩の痛み】

 肩腱板断裂=図3

 肩はよく動くのに特定の肢位で痛みが出ます。ある程度リハビリで改善させることはできますが、痛みが続く場合が多いです。切れた腱板は自然には治りません。痛みが続く場合は手術することで改善可能です。近年関節鏡で手術することが主流になりました。

 腱板断裂性関節症=図4

 腱板断裂を放っておくと肩の軟骨が摩耗して痛みが出ている状態に移行します。2014年から日本国内に導入されたリバース型人工肩関節により、肩が痛くて上がらない人も手術をすることで痛み、動きを改善することができるようになりました。

 手術法(当院の場合)

 全身麻酔で手術をおこないます(2~3時間)。腱板断裂の場合は小さな切開で関節鏡を見ながら修復します=図5。腱板断裂性関節症の場合は肩の前方を10センチ切開し人工関節を挿入します(1~2時間)。術後は装具を着用します。当院では術後調子よければ最短7日で退院が可能です。退院後は定期的なリハビリ通院が必要です。かかりつけの先生の所でも可能です。

 肩の痛みの多くは治療をすることで改善が可能です。おかしいと感じたら早めの受診をお勧めします。

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 岡山旭東病院(086―276―3231)

 えぐさ・まこと 総社高校、川崎医科大学卒。2016年より岡山旭東病院勤務。18年に年間5000例の整形外科手術をこなす船橋整形外科病院に国内留学し1年間肩外科を研さん。19年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会公認スポーツ医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年07月19日 更新)

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