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(4)患者さま主体の食事療法 倉敷スイートホスピタル栄養管理科主任 後藤京子

後藤京子氏

 生活習慣病とは、偏った食事、運動不足、ストレス、喫煙、飲酒など長期間の生活習慣が原因となる病気で、代表的なものに高血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームがあります。生活習慣病の予防・治療には食生活を含めたライフスタイルの改善が重要です=表1

 中でも塩分を控えることは、高血圧症だけでなく脂質異常症や糖尿病等の疾患にも重要なポイントです。2019(令和元)年に実施された国民健康栄養調査では、食塩摂取量の平均値は10・1グラム(男性10・9グラム、女性9・3グラム)と報告されています。一方で、日本人の食事摂取基準(2020年版)では、食塩摂取目標量が見直され、男性8・0→7・5グラム、女性7・0→6・5グラムとさらに厳しい目標値へと変更されました。高血圧症の患者さまでは1日6グラム未満が目標です。

 さて、私たちが普段食べる食品にはどのくらいの塩分が含まれているのでしょう。表2をご参照ください。食品・料理の塩分量を知ることは減塩の第一歩となります。

 次に指導時のポイントをご紹介します。

 【食事を作るとき】

 *天然だし(昆布やかつお節など)を使い、だしのうま味で減塩に

 *酢・かんきつ類・香辛料などのスパイスを活用 酸味や辛味、香りで塩分に頼らない味付けができます。

 *みそ汁は具だくさんにして1日1杯を目安に

 【食事を食べるとき】

 *調味料はかけずにつけて食べる(平均0・3~0・7グラムの食塩を減らせます)

 *ラーメン、うどんの汁は残す(半分残すだけでも3~4グラムの食塩を減らせます)

 *漬物やつくだ煮はなるべく控える

 ☆カリウムを積極的に摂取しましょう(*糖尿病や腎機能低下がある方は医師の指示に従ってください) カリウムには利尿作用があり、ナトリウムを排出してくれる働きがあります。海藻、豆類、穀類、野菜、果物に多く含まれます。

 ☆適正体重を維持しましょう 肥満は心臓に負担をかけます。自分に必要な1日のエネルギー量を知り、糖質と脂質をとり過ぎないように注意しましょう。

 ☆多品目の食品、特に食物繊維(野菜・海藻・きのこ類)を積極的に食べましょう 同じ一皿でも使われる食材の種類が多いほど、食事全体のバランスは自然に良くなります。

 当院の生活習慣病食事療法は医師の指示内容がより正確に、より効果的に実践できるよう、ご本人の好みや状態を尊重し豊かな食生活の実現を心がけた栄養指導をしています。指導内容は医師、薬剤師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネージャーと共有することで患者さまとの相互理解を深め、患者さまの思いに寄り添った医療をチームで取り組んでおります。

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 倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)

 ごとう・きょうこ 啓明学園高等学校、多摩調理師専門学校、八王子栄養専門学校卒業。医療法人社団光生会平川病院栄養課、社会福祉法人山の子会山の子の家栄養部を経て2017年から現職。調理師、管理栄養士。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2021年07月19日 更新)

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