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グループホーム連携を 「岡山ミニ学会」を契機に  薬師寺明子美作大講師が解説

グループホームを取り巻く現状や課題をテーマに開かれた「岡山ミニ学会」

 障害者自立支援法の四月施行に伴い、悪影響が懸念されるグループホームの運営や利用者の生活面の問題をテーマにした研究交流会「岡山ミニ学会」が今月中旬、総社市内で開かれた。運営委員を務めた美作大福祉環境デザイン学科講師の薬師寺明子さん(32)に会の意義や討論のポイントなどを解説してもらった。

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 全国の障害者やグループホーム世話人でつくる日本グループホーム学会(事務局・東京都)が主催し、岡山県内外から世話人やボランティアの学生ら約五十人が参加。神奈川県茅ケ崎市の知的障害者グループホーム「下宿屋」の入居者ら三人が、生活の様子や将来の希望を発表した後、参加者がホームを取り巻く現状について討論。障害者の結婚問題や「利用者にとって良い世話人とは」などについて、入居者も交えて意見交換した。

 「岡山県内のグループホームは、母体となる社会福祉施設との縦のつながりはあっても、ホーム同士の横の連携・交流はほとんどなかった。学会を県内のネットワーク化への一つの契機にしたい」。薬師寺さんは「岡山ミニ学会」の意義をこう説明した。

 岡山県内には知的障害者を対象にしたグループホームは現在約百あるが、すべて社会福祉施設などが母体。他県では地域のNPOなどが独自運営する形態も見られるが、岡山にはまだ認可されたものはない。「他県に比べ福祉施設は充実しているが、それがかえって障害者の地域生活移行の遅れにつながってしまう側面がある」と薬師寺さん。

 支援法施行により、福祉サービスは利用者原則一割負担となる。それは、知的障害者の生活やグループホームの運営に重くのしかかってくる。討論でも、「施設から地域へ」という福祉の流れを止めないためにも、限られた予算でいかにサービスを高めるかが、最大の課題として指摘された。

 薬師寺さんは「障害者の『生活の場』であるグループホームの仕組みを維持発展させるには、支援の質向上が不可欠」とした上で、「グループホーム同士の連携や情報交換を深め、世話人のレベルアップなど、支援体制充実につなげていかなければならない」と総括した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年01月29日 更新)

タグ: 福祉医療・話題

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