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糖尿病リスク高い岡山県民 64%定期検査受けず

松岡孝主任部長

 糖尿病のリスクが高い岡山県民のうち、64・0%が病院での定期的な検査を受けていないという結果が製薬会社・ノバルティスファーマのアンケート調査でまとまった。倉敷中央病院(倉敷市美和)糖尿病内科の松岡孝主任部長は「放っておくと、網膜症や腎症、神経障害、脳梗塞、心筋梗塞など深刻な合併症に至ることもある」と警告している。

 調査は4月、過食や運動不足など生活習慣が原因の2型糖尿病について、予備群の「境界型」や糖尿病の疑いがあると診断された▽健康診断や検査で血糖値が高かったことがある―などの30060代の男女にインターネットで実施。全国4700人(各都道府県100人)が回答した。

 検査を受けていない人は全国でも67・9%(広島県68・0%、香川県62・0%)と、ほぼ3人に2人に上った。受けない理由(複数回答)は「糖尿病の症状らしきものを感じたことがないから」が47・7%(岡山県50・0%、広島県27・9%、香川県51・6%)で最も多かった=表。

 ところが、このうち71・5%(岡山県71・9%、広島県89・5%、香川県56・3%)は口渇、多尿、体のだるさなど糖尿病の自覚症状を知らなかった。

 糖尿病をめぐっては、日本糖尿病学会が7月、診断基準を改定。従来の血糖値に加え、過去102カ月の血糖の平均値を示すHb(ヘモグロビン)A1cを取り入れ、1回の検査で診断可能にした。また、低血糖や体重増加の副作用を起こしにくい新たなタイプの飲み薬「DPP―4阻害薬」もここ1年で相次ぎ発売された。

 「治療は目覚ましく発展し、早期に発見して治療を始めれば、健康な人と変わらない日常生活が送れる」と松岡主任部長。しかし、多くの場合、時間をかけ徐々に進行するため、症状に気づかず、発症や合併症の進行の発見が遅れると指摘、「糖尿病のリスクが高まるとされる30代以降は日ごろから正しい生活習慣を心掛け、定期的な検査を受けてほしい」と呼び掛けている。

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 糖尿病 膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモン・インスリンの量や効き目が低下し、血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高くなる病気。血管が傷み、目や腎臓、神経などに合併症を起こす。生まれつきインスリンが出ない1型と生活習慣が原因の2型などがある。大半の患者は2型で、食事・運動療法で血糖値が下がらない場合、薬を使ったり、自分でインスリンを注射して治療する。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年12月06日 更新)

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