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不眠の解消 起床時間守り光を浴びる

睡眠時間の推移

快眠のポイント

大田浩右・脳神経センター大田記念病院名誉院長

 「寝ようと思っても寝付けない」「朝まで熟睡できない」―。日本人の3人に1人が睡眠に問題を抱えているとされる現代社会。中でも多いのが「不眠」の症状だ。脳神経センター大田記念病院(福山市沖野上町)の大田浩右名誉院長は「病的な原因がなければ、生活習慣や睡眠環境を見直すだけで随分解消できる」と言う。

 1日が24時間なのに対し、人間に備わっている体内時計の周期は24時間50分前後といわれる。毎朝、光の刺激を受けることで時間差がリセットされ、暗くなるとまた自然に眠気が起こるという一定のリズムを繰り返している。不眠の原因はさまざまあるが、近年目立つのが不規則な生活やストレスなどを背景に、このリズムが乱れてしまうケースだ。

 そのため大田名誉院長は「無理して寝ようとしても自分の意思ではどうにもならない。まずは毎朝同じ時間に起きて、日光をしっかり浴びるようにするのが重要」と指摘。「起床時間を守っていれば、次第にスムーズに就寝できるようになってくる」と説明する。

 体温が下がり始めると眠くなるため、快眠には興奮をおさめ、リラックスできる環境づくりも欠かせない。「少なくとも2時間前には寝る準備を」と言う。ぬるめの風呂や軽いストレッチは効果的だが、熱い風呂や激しい運動、飲食などは避け、寝具は「自然に寝返りができる枕やマットレス、敷き布団を選んでほしい」とアドバイスする。

 眠れないからと寝酒をする人も多いが、「脳の睡眠中枢を一時的に麻痺(まひ)させるだけで、快眠はできない」(大田名誉院長)のが本当のところ。習慣化すれば酒量が増えて依存症になる恐れもある。

 さらに「家の照明をもっと暗くすべき」と提案する。不眠で悩む人に部屋の照度を測定してもらうと、500ルクスを超えることも少なくないといい、「明るすぎる照明は脳を刺激し、眠気を起こさなくなる。できれば300ルクス以下にしてほしい」と照明設備の工夫を求める。

 睡眠は脳や体をリフレッシュするだけではなく、記憶を定着させるなど学習効果の面でも役割が大きいことが分かっている。大人も子どももあらためてその重要性を認識し、快眠を目指したい。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月18日 更新)

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