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91歳、心臓手術乗り切る 岡山医療センター成功 回復順調、あす退院

退院を前に、執刀した岡田医長と話す長光さん

 国立病院機構岡山医療センター(岡山市田益)が、心臓弁膜症の九十一歳女性の手術に成功した。九十歳を超えて心臓弁を取り換える手術の成功例は学会でもほとんど報告されていないという。女性は「一時は駄目かと思った。先生を信じて任せてよかった」と話し、五日の退院を心待ちにしている。

 岡山市横井上の長光満子さんで、昨年末に自宅で突然息苦しくなり、救急車で入院。心不全を起こしており、心臓内の血液の流れを調節する弁が機能不全に陥る弁膜症と診断された。

 検査した医師団は、長光さんの体は手術の負担に耐えられると判断。本人と家族の希望もあり、一月六日に実施。カルシウム成分が固まる石灰化により硬くなった弁を切除し、人工弁を縫い付けた。手術時間は約四時間だった。

 長光さんは術後、心配された合併症もなく、順調に回復し、退院が決まった。息子の章三さん(59)は「これまで大きな病気をしてこなかっただけに不安だった。懸命に治療をしてくれたスタッフの方々に感謝しています」と喜んでいた。

 心臓弁膜症手術は、人工心肺を使うため体に負担がかかり、内臓機能が落ちる高齢者ほど成功率は低くなる。

 執刀した心臓血管外科の岡田正比呂医長は「弁膜症の九十代の手術は初めてだったが、チームワークで乗り切れた。高齢でも状態によっては手術可能なことを示すことができ、学会にも報告したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年02月04日 更新)

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