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心臓超音波検査 小型機器が登場 外来や病室でも手軽に

伊藤浩岡山大学病院循環器内科長・教授。手にしているのが小型エコー「Vscan」

 心筋梗塞や弁膜症、心筋症など、心臓疾患の診断や観察に有用な「心臓超音波検査(心エコー)」。近年は持ち運びできる小型機器が登場し、病院の検査室だけでなく、外来や病室でも手軽に検査が行われるようになってきた。岡山大学病院(岡山市北区鹿田町)の伊藤浩循環器内科長・教授は「どこでも心エコーができれば、治療のための次の一歩がより素早く踏み出せる。患者さんもその場で画像を見ながら医師の説明を受けられ、病気や治療への理解を深めやすい」と話す。



 「日々の回診には必ずこれを持って行く」。そう言って伊藤教授が白衣のポケットから取り出したのは「Vscan(ヴィースキャン)」というエコー装置。折り畳み式携帯電話を少し大きくしたようなサイズで、3・5インチディスプレーで心臓の形態や動き、血液の流れをリアルタイムで確認したり、録画できる。昨秋2台導入した。「特にベッドサイドで重症患者さんの病態を把握するには欠かせない。大型機器に比べて起動が速く、一刻を争う救急時にも役立つ」と説明する。

 日本人の死因第2位を占める心臓疾患。心臓の様子を可視化できる心エコーは病気の早期発見・治療のためにも非常に重要な検査の一つだ。ただ、外来を訪れても、検査室で詳細な心エコーを受けようとすれば数日待たされることは珍しくなく、患者はその間、不安を抱えて過ごすことにもなりかねない。

 「患者さんは、病院に行ったその日にある程度の診断をつけてほしいと望んでいる」と伊藤教授。小回りの利く小型機器を併用することで、「聴診に心エコーを組み合わせ、その場でより確実な初期診断ができる」と指摘する。画像の確認を通じ、患者と医師との間で情報の共有化が図れ、コミュニケーションも深まるという。

 心臓疾患に限らず、小型エコーの活躍が期待される場は幅広く、在宅医療の現場などでも導入が広がっている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年06月20日 更新)

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