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「ハートフル美容師」育成進む 岡山県で60人認定へ 高齢・障害者本位のサービス

拘束具を着けての疑似体験訓練に取り組む美容師=1月30日

集合研修で寝たきりの人への洗髪の方法を学ぶ美容師=1月30日

店頭用ステッカー

 高齢者、障害者が安心して快適に利用できる技能を持つ「ハートフル美容師」の育成が二〇〇五年度から全国で進んでいる。岡山県では、県美容生活衛生同業組合が現役の美容師を対象に養成研修を実施、二月中に六十人が認定を受けることになった。

 ハートフル美容師は、超高齢化社会に対応した美容師を育てようと、〇五年度から全日本美容業生活衛生同業組合連合会などが取り組んでいる。養成研修の運営にあたる保健教育センター(東京都)によると、年度内に全国で二千人以上が認定される予定。

 岡山県では、昨年十一月から養成研修が始まり、六十人が通信教育で高齢者、障害者への接客援助の基本知識について学習。総仕上げとして一月三十日に岡山市内で集合研修が行われた。

 集合研修では、看護福祉系の短大教員らの指導の下、参加者が高齢者役と介助する役に交互にふんした疑似体験訓練が実施された。障害のある高齢者をシャンプーチェアへ安全にエスコートする訓練では、高齢者役が拘束具や耳栓、視界を制限するゴーグルを着用し、移動中の不安を実体験。寝たきりの人への訪問美容の訓練では、持ち運び可能な専用の洗髪器の使い方が紹介された。

 このほか、現役美容師や理学療法士らを講師に、高齢者のメークや車いす介助の講義も行われた。

 「疑似体験で、体の不自由な人の大変さを実感した。心を込めた接客に役立てたい」と岡山市の前裕美さん(34)。津山市から参加した石原昌子さん(50)は「お客さんには高齢者も多く、病院や施設へ出向くこともある。現場の視点に即した解説で今後の参考になった」と話していた。

 参加者には、二月末ごろハートフル美容師認定証と、店頭用ステッカー=写真=が交付される予定。

 高齢者、障害者の場合、散髪は介護しやすく間隔が長くなるよう、女性でも短く刈り込むなど、介助する側の観点から行われがちだった。しかし、気持ちが若返る、外出する意欲がわくなどおしゃれの心理的効用が認められ、福祉分野での美容のニーズは高まっている。

 岡山県美容生活衛生同業組合は、〇六年度以降も定期的に研修を実施。ハートフル美容師を県内で順次増やす計画。同組合の中嶋實人理事長は「店でのサービス向上のほか、将来は行政やヘルパーと連携し、施設や在宅への訪問美容も広げたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年02月08日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉医療・話題

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