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「テロメライシン」骨・軟部腫瘍にも効果   岡山大病院グループ開発 がん治療用ウイルス製剤

藤原俊義教授

佐々木剛医師

 岡山大病院の藤原俊義教授(消化器外科)と佐々木剛医師(整形外科)らの研究グループは、食道がんなどの治療に向けて独自開発しているウイルス製剤「テロメライシン」に骨や筋肉、神経などに発症する骨・軟部腫瘍の細胞増殖を抑制する効果があることを、マウス実験などで突き止めた。

 患部への注射が必要なだけで、患者の身体的負担が少ないのが特長。若年者にも発症が多いという骨・軟部腫瘍の治療につながる成果として注目を集めている。

 テロメライシンは、無害化させたアデノウイルス(風邪ウイルスの一種)と、細胞ががん化した時だけ活性化する遺伝子の一部を結合させたウイルス。がん細胞内で急速に増え、細胞死を誘導する。2006年から米国で臨床試験を行い、一定の腫瘍縮小効果や安全性を確認している。

 テロメライシンを研究する藤原教授に、同病院整形外科の尾崎敏文教授から共同研究の打診があり、08年から着手。腫瘍のできる場所や性質が少しずつ異なる骨肉腫など、14種類の細胞株にテロメライシンを入れ5日間観察した結果、12種類で増殖抑制効果がみられた。

 残りの2種類も、ウイルスが細胞に入り込む経路を変質させた製剤を用いた結果、抑制効果が表れ、マウスによる研究でも同様の効果が確認できたという。今春、米専門誌に掲載された。

 国内におけるテロメライシンを用いたヒトへの臨床研究は、岡山大が食道がん、肺がん患者らを対象に国への申請を準備中。承認が得られれば12年中にも着手する。藤原教授らは「研究を迅速かつ安全に進め、骨・軟部腫瘍にも広げたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年08月25日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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