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ベストのがん治療求め 「患者組合」岡山で発足 学習会開催や情報誌刊行

患者一人一人が手を尽くしたがん治療を受けられることを目指す「生きがい療法ユニオン」の設立総会

 がん患者や家族が団結して“組合”を結成し、手を尽くした医療の実現を訴えていく「生きがい療法ユニオン」の設立総会が8月20日、岡山市で開かれた。学習会の開催や情報誌の刊行を通じて「患者力」を磨き、ベストのがん治療を目指す活動をスタートさせる。

 がん患者とモンブランに登頂するなど「生きがい療法」を実践し、笑いやイメージ訓練を取り入れた心理療法を研究してきたすばるクリニック(倉敷市新倉敷駅前)の伊丹仁朗院長が提唱。設立記念講演会は関係者120人が聴講した。

 主治医の説明や治療方針に納得できず、別の情報や治療選択肢を探してさすらうがん難民は、NPOの調査で全国68万人(がん患者の53%)とも推計される。多くの医療機関がガイドラインに基づいた「標準治療」を重視している現状では、患者一人の力で別の選択肢を求めることには非常な困難が伴う。

 伊丹院長は「生きがいと笑いだけではがんを治せない時代になった。闘う患者さんたちのグループをつくり、医師や弁護士とも協力してがん難民にならない取り組みを」と呼びかけた。

 千葉ポートメディカルクリニック(千葉市美浜区)の今村貴樹院長は、患者一人一人の抗がん剤への感受性や副作用に合わせた投与法を重視するオーダーメード治療の必要性を説明。「『緩和ケアしかありません』と言われても、工夫すれば治療の余地のあるケースは多い」と指摘した。

 ユニオンは任意団体として活動し、協力医を委嘱して治療法の相談などにも応じる計画。すでに患者や家族、ボランティアら52人が加入を申し込んでおり、さらに組合員を募っている。組合費年5000円が必要。原則として他のがん患者団体に所属している人は加入できない。

 13日午後2時から国民宿舎良寛荘(倉敷市玉島柏島)で生きがい療法の公開講座を開く。問い合わせはユニオン事務局(086―525―8655、月・火・金曜日午前10時〜午後3時)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月05日 更新)

タグ: がん医療・話題

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