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骨粗鬆症予防 ウオーキングと食事で

 骨量が減り、骨がもろくなって骨折しやすくなる骨粗鬆(しょう)症。推計患者数は全国で約800万〜1100万人といわれる。ウオーキングと食事による予防について、岡山県南部健康づくりセンター(岡山市北区平田)の運動指導員と管理栄養士に聞いた。



 日本での骨粗鬆症有病率は加齢とともに上がり、80歳代では女性のほぼ半数、男性の2割から3割が罹患していると推定される。

 女性は男性の約3倍の頻度で骨粗鬆症が起きる。女性ホルモンは骨の新陳代謝を保つ大切な役割を担うが、閉経でその分泌が減ると新陳代謝のバランスが崩れ、骨を作る量よりも壊す量が多くなる。このため閉経後の女性は骨量が減りやすい。

 「米国スポーツ医学会も推奨しているが、特に女性は20歳ごろから運動で骨を鍛えておきたい」と、同センターの運動指導員斉藤剛さん(健康運動指導士)は話す。ウオーキングはさほど道具も要らず手軽に始められ、歩きながら骨に適度な刺激を与え、骨を強化できるという。

 歩き方は、背筋を伸ばす▽歩幅は大きく▽かかとから着地する―の三つが基本。歩幅を大きくするには、脚の動きばかりに気を取られず、肘を軽く曲げて腕振りを意識すればよい。

 目標は1日1万歩だが、今まで1日2千、3千歩しか歩いていない人には負担となり、逆に膝などを痛めかねない。斉藤さんは「千歩、2千歩と歩数を徐々に増やすことから始めて」と助言する。

 発展的な歩き方として、(1)つま先歩き(2)膝上げ歩き(3)お尻落とし歩き=イラスト参照=がある。体のバランスに留意し、ウオーキングの際に部分的に行えばよい。筋力アップで転倒予防を図れ、大腰筋や大腿だいたい四頭筋など骨とつながっている筋肉を動かすことで、骨も鍛えられる。お尻落とし歩きは、膝がつま先より前に出ないよう注意する。

 一方、同センターの管理栄養士豊田加奈子さんは「ウオーキング(運動)とセットで、骨を強くする食事を取ろう」と呼び掛ける。食事の基本は、カルシウムをしっかり取る▽カルシウムの吸収を高める▽栄養バランスを取る―の三つ。

 日本人のカルシウムの食事摂取推奨量(18歳以上、1日当たり)は男性650〜800ミリグラム、女性600〜650ミリグラムだが、現状は全般的に不足しており、カルシウムを多く含む食品=表参照=の摂取が必要になる。

 カルシウムの吸収を高める栄養素(かっこ内は食品)には、ビタミンD(キクラゲ、干しシイタケ、カツオ、サケなど)、マグネシウム(アーモンド、カシューナッツ、大豆、ワカメなど)、ビタミンK(納豆、ホウレンソウ、ブロッコリー、ひじきなど)がある。

 カルシウムの摂取上限量は1日2500ミリグラム。「普通の食事をしていれば取り過ぎることはない」と豊田さんは言う。ただし、「サプリメントで摂取すると、取り過ぎて尿路結石など障害が起きる可能性がある」と注意を促す。 
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年09月19日 更新)

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