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リハビリ病院の役割 QOL向上へ身体機能改善 岡山リハビリテーション病院・鼠尾祥三院長に聞く

リハビリ病院の役割などについて語る鼠尾祥三院長

移転先の新病院=岡山市中区倉田

 岡山リハビリテーション病院(岡山市中区奥市、129床)は、10年前から「回復期リハビリテーション病棟」を設け、発症2カ月以内の脳卒中、大腿(だいたい)骨頸部(けいぶ)骨折などの患者を受け入れてきた。11月1日には新築した病院(同倉田)へ移転、病院機能の強化を図る。鼠尾祥三(ねずおしょうそう)院長にリハビリ病院の役割など聞いた。

 岡山リハビリテーション病院の医療圏は岡山市を中心に玉野、赤磐、瀬戸内、備前市など岡山県東部に及ぶ。入院患者は全員が急性期病院からの紹介で、リハビリを目的とする。入院患者の約75%が脳卒中、約20%が大腿骨頸部骨折。2010年度は1日平均118人が在院(平均在院日数は約74日)した。

 脳卒中患者を例に取ると、運動麻痺まひや感覚障害に加えて失語症、摂食・嚥下えんげ機能低下、高次脳機能障害などの障害がみられる。「患者さんの身体機能を改善し、できる限り元の生活が送れるようにQOL(生活の質)を向上させ、退院していただくのがリハビリ病院の役目」と鼠尾院長は言う。

 病院運営の柱である回復期リハビリテーション病棟の制度は、2000年の診療報酬改定時に新設された。全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会(東京)によると、今年9月末現在で全国1115病院に1390病棟、6万1586床がある。岡山県内では22病院に25病棟、1069病床が設けられている。

 回復期リハビリテーション病棟では、寝たきり防止や家庭復帰、社会復帰を目的としたリハビリが集中的に行われる。現在2病棟、91床を持つ同病院では常勤医師6人(うち日本リハビリテーション医学会専門医1人)、理学療法士29人、作業療法士26人、言語聴覚士8人ら専門スタッフがその任に当たる。「多職種が集まってカンファレンスを頻回に行い、1人の患者さんの情報を共有、効率的なリハビリを推し進める。チーム医療の最たるものがリハビリ病院だ」(鼠尾院長)。退院が近づくと、介護保険のキーパーソンであるケアマネジャーもスタッフに加わる。

 移転先の新病院は鉄筋コンクリート6階延べ約8千平方メートルで、床面積は現施設の約1・7倍。車いすでも移動しやすいように病室やトイレ、食堂、リハビリ用スペースを従前より広げる。病床数は変わらないが、129床(3病棟)すべてが回復期リハビリテーション病棟の病床になり、1日3時間のリハビリテーションを行う予定。鼠尾院長は「より効率的、高度なリハビリを行える態勢が整う。退院後の在宅支援にも力を入れており、回復期から退院後の維持期まで切れ目のないリハビリサービスを提供したい」と抱負を話す。退院後の訪問リハビリ、通所リハビリ事業もさらに充実させたいという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年10月17日 更新)

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