文字 

林原生化研 ペプチドワクチン開発 アルツハイマー病効果期待

 林原グループの林原生物化学研究所(岡山市下石井)などは二十四日、アルツハイマー病の予防や治療効果が期待できるペプチド(アミノ酸の鎖)ワクチンを開発した、と発表した。幼少時の破傷風などの予防接種で多くの人が既に体内に持っている抗体生成能力を活用し、脳炎など副作用が少ないのが特長。

 ペプチドワクチンは、ペプチドにアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβ(ベータ)タンパクの一部を組み合わせたほか、予防接種ワクチンの一部も取り入れた。ペプチドワクチン接種により、既に体内に持つ同能力を活性化させ、脳内にたまった同タンパクを分解する抗体の血液中での生成を促して、病状の進行を食い止める仕組み。

 マウス三十五匹を使った実験では、破傷風などの予防接種をした後にワクチンを投与したマウス群は、ワクチンだけを投与したマウス群に比べて約百倍の抗体を検出。人の細胞でも効果を確認できたという。

 アルツハイマー病の根本的な治療薬はなく、世界的に研究が進められているが、「副作用を伴う恐れのある増強剤を使わず、安全性の高いペプチドワクチンは世界初」(同社)としている。

 鼻などの粘膜からワクチンを接種しても効果が得られるため、同社は「注射が困難な高齢者への投与や、医療環境が不十分な発展途上国でのワクチン普及につながる」と話す。十年以内の実用化が目標。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年02月25日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ