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ロボットスーツのリハビリ効果検証 岡山県、17施設に20台配備

HALを装着した施設職員の動作を見守る山海教授(左から2人目)=5日、浅口市

 岡山県は、手足などの動きを補助するロボットスーツ「HAL(ハル)」を病院や介護老人保健施設に無料で貸し出して患者や高齢者に装着してもらい、リハビリ効果を検証する事業を進めている。本年度は県内5市町の17施設に計20台を配備し、約60人分のデータを収集中。福祉現場の負担軽減、新産業の創出につなげる狙いで、2012、13年度も対象施設の募集を続ける。

 HALは山海嘉之筑波大大学院教授(岡山市出身)が開発し、大学ベンチャーのサイバーダイン社(茨城県つくば市)が製造。脳からの電気信号を読み取り、モーターを作動させて筋肉の働きを助ける。レンタル料は両脚タイプの5年契約が月額15万8千円。同社によると全国約120施設に約250台が導入されているという。

 5日には、山海教授と同社の社員2人が、県から1台を借りている浅口市寄島町の介護老人保健施設「いるかの家リハビリテーションセンター」を視察。導入効果や課題について職員らと意見交換した。

 職員からは歩行が円滑になるものの、装着に手間がかかるなどの問題点が指摘され、山海教授は「普及には利用のしやすさが重要。現場の声をフィードバックし、改善を図りたい」と話した。

 他施設でも脳卒中で体が不自由になった患者や歩行が困難な高齢者らが使っており、動作の改善データを分析する。

 県医療推進課は「HALはリハビリ効果が十分に検証されておらず、レンタル料も高額なために導入を手控える施設もある。事業を通じて効果を確かめ、普及につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年01月08日 更新)

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