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良性発作性頭位めまい症 特徴や治療法は? ゆうえん医院(岡山) 結縁晃治院長に聞く

結縁晃治院長

原因は耳、前庭の異常

耳石を追い出す理学療法

安静にすると回復遅れる


 寝返りをうったり、寝床から起き上がろうとすると、激しく目が回る―。こんな「めまい」で悩んでいる中高年が多いという。もしかするとこの症状、耳の異常が原因の「良性発作性頭位めまい症」かもしれない。めまい診療を専門とするゆうえん医院(岡山市北区大供)の結縁晃治院長に、特徴や治療法などについて聞いた。

 良性発作性頭位めまい症は、「症状を訴える患者さんの4分の1から5分の1を占める」(結縁院長)というめまいの代表格。頭の位置を変えると数秒後に突然、周囲が回転するような強いめまいに襲われ、場合によって吐き気を催す。致命的なものではなく、数秒から数十秒でいったんは治まるが、頭を動かすとまた起こるため、「めまいを避けようと、じっと寝付いてしまう人もいる」と結縁院長は話す。

 原因とされるのは、平衡感覚に関係する「前庭ぜんてい」の異常。前庭にある「耳石じせき器」から耳石(炭酸カルシウムの塊)がはがれ、三つある「半規管」に入り込む。その結果、内部を満たすリンパ液の流れが乱されるなど半規管が刺激され、めまいを感じる。難聴をはじめとした聴力のトラブルはない。

 耳石がはがれる理由については良く分からないが、「老化や外傷などが関与していると考えられる」(結縁院長)という。

 発症時に特有の眼球の動きがあり、診断の際は眼振検査を行う。耳石が半規管からなくなればめまいも起きないため、治療では頭を動かして耳石を追い出す理学療法を施し、ケースによって抗めまい薬も処方する。

 結縁院長は「通常は、めまいを起こす頭の位置を何度か繰り返すうちに自然に軽症化し、治ることも多い」と説明。「逆に、じっと安静にしていると、耳石が半規管の中にとどまる時間が長くなり、回復が遅れる」と注意を促す。

 「ただし、このような頭位めまい(頭を動かした時に発生するめまい)は聴力が低下するメニエール病など他の耳性のめまいでもみられ、脳が原因のめまいでも起きる」と結縁院長。ほかにも、耳や脳、血圧、心臓の異常、自律神経失調などが原因となるさまざまなめまいがあり、原因が違えば当然治療法も異なる。自己判断ではなく、正確な診断が欠かせない。

 結縁院長は診療科を選ぶ一般的な例として、めまい以外に、聞こえづらさや耳閉感、耳鳴りなど“聞こえ”の問題を伴う場合は耳鼻咽喉科を、手足のまひやしびれ、舌のもつれ、頭痛を伴う場合は脳神経外科や神経内科を、それ以外は「まずかかりつけ医を」とアドバイスする。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年01月16日 更新)

タグ: 脳・神経

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