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ドナー登録 若い人も関心を 岡山・骨髄バンクを支援する会 原田代表に聞く

骨髄バンクの現状や課題について話す原田代表

 血液のがんとされる白血病治療のため、骨髄移植推進財団(東京)が主体となって設立し、ドナー(骨髄提供者)登録を受け付ける日本骨髄バンクが1992年1月に活動を始めて20年。白血病に襲われた夫を救おうと91年からバンク設立を訴えて奔走し、設立後は患者のために活動を続ける「岡山・骨髄バンクを支援する会」の原田早苗代表(58)に、現状や課題を聞いた。

 ―なぜこの活動に取り組み始めたのか。

 夫が慢性骨髄性白血病と診断された90年、国内には民間バンクしかなく、多くのドナーを集めるためには公的なバンクの設立を急ぐ必要があった。活動開始直後は「どこの骨を取るの」「死後の提供か」などと聞かれることもしばしば。多くの人に知ってもらおうと医師を招いて、ドナー登録や骨髄移植のセミナーを開いた。ドナーが現れず亡くなる患者も多く、砂をかむ思いを何度もした。

 ―現在のドナー登録状況は。

 国内登録者は40万人で、移植を待つ患者は2900人。ただ、HLA(白血球の型)が一致する確率は、きょうだいで4分の1、非血縁者では数万分の一ともいわれる。30万人の登録で9割の患者が移植できるとされているが、登録者であっても骨髄採取を拒否するケースもあり、実際に移植を受けられるのは6割ほど。県内患者は24人で、登録者は6474人いるが「まだまだ足りない」と言うのが実感だ。

 ―登録拡大に向けての課題は。

 県は特定の保健所に窓口を設置しているが、登録できるのは平日午前中のみで予約が必要。92年当時と状況はさほど変わらず、保健所での登録は年5人ほど。普及啓発のため、献血バスに説明員を同乗させてはどうか。骨随の提供には入院が必要なため県には休業制度を設けるよう訴えたい。若い人にも関心を持ってもらえるよう大学でのドナー登録会を積極的に行いたい。

 ―危険はないのか。

 骨髄提供は100%安全とは言い切れない。骨髄移植推進財団のホームページには肝炎の発症や腰痛が続くなど健康被害の報告も掲載されている。登録時には被害について伝えるよう心掛けている。白血病患者にとって骨髄移植は最後の手段とされるが、ドナーあっての移植。ドナーの安全が第一だと思う。登録や提供方法、型の一致する確率、危険性などもっと深く知ってもらった上で登録者を増やしたい。一人でも多くの患者に元気になってほしい、というのが一番の願いだ。

 骨髄移植 骨髄は骨の中心部にある造血組織で、造血幹細胞が腫瘍化して増殖する状態が白血病。移植では、ドナーから採取した骨髄液(造血幹細胞)を患者の静脈に注入し、健康な血液をつくる機能を回復させる。ドナー登録は18〜54歳の健康な人が対象。説明を受けた後、HLAを調べる採血(2ミリリットル)で完了する。骨髄採取には3、4日の入院が必要となる。骨髄バンクに関する問い合わせは骨髄移植推進財団(0120―445―445、ホームページhttp://www.jmdp.or.jp/)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年01月29日 更新)

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