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口内の海綿状リンパ管腫 切除せずに電磁波焼灼 効果高く、痛み軽減 岡山大病院が近く臨床研究

野田小児外科長

 岡山大病院の野田卓男小児外科長(同大大学院医歯薬学総合研究科准教授)らは、舌や歯茎に無数の小さな液胞ができる良性腫瘍「海綿状リンパ管腫」を電磁波で焼く「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術」の臨床研究を近く始める。従来の治療法より効果が高く、痛みなどの副作用は軽減。治療に伴う入院も短縮でき、患者のQOL(生活の質)の大幅改善が期待される。

 海綿状リンパ管腫は先天性のリンパ管形成異常。症例は極めて少ない。体のあちこちに無数の微小な液胞が生じ、切除しても繰り返し発生するため今の医学では完治が困難。薬剤治療も発熱や腫れ、痛みなど副作用が強い割に効果が低いという。

 ラジオ波焼灼術は腫瘍に特殊な針を刺して電磁波で焼く治療。今回は口内の海綿状リンパ管腫へ応用する。患者は出血や食事の際の痛み、腫瘍の増大に伴う舌の巨大化(巨舌症)などに悩まされている。

 欧米では痛みや出血の改善など効果を挙げた報告がある。国内では野田科長が昨秋まで勤めた香川大医学部付属病院で患者3人に行った例のみという。

 野田科長によると、完治は焼灼術でも難しいが、「副作用が薬剤治療よりずっと少なく、患者負担は大きく減る」。施術した患者は薬剤治療の半分以下の1週間ほどで退院。症状の改善も薬剤より顕著という。

 岡山大倫理委員会が2月28日に研究を承認した。当面は香川大病院から継続治療する3人と、新たに受ける1人の計4人。2015年3月まで3年間をめどに5?10人に施術する。治療費の一部が保険適用となる「先進医療」への申請を視野に、有効性などを追跡調査する。

 野田科長は「患者は常に痛み止め薬を携帯するなど大変つらい思いをしている。QOL向上と負担軽減を図りたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年03月06日 更新)

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