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増加傾向の双子、三つ子 総社の母親サークルを訪問 悩み語り気持ち軽く 肉体、精神 大きい育児負担

岡山県内の複産分娩件数(人口動態統計)(グラフ)

情報交換する「さくらんぼくらぶ」のメンバー=総社市

 少子化が進む中、逆に増加傾向にあるのが双子や三つ子といった「多胎児」だ。厚生労働省の人口動態統計によると、二〇〇四年の岡山県内の複産分娩(ぶんべん)は二百二十八件(双子二百二十三件、三つ子四件、四つ子一件)。ここ十年で四割増えた。ただ、育児の負担は肉体的にも精神的にも大きい。「授乳や入浴はどうしたらいい?」「交互に夜泣きして困る」…。多胎児特有の悩みについてアドバイスし合う子育てサークルが各地にできている。その一つ、総社市の「さくらんぼくらぶ」を訪ねた。

 「双子、三つ子の大変さは一人の場合の二倍、三倍でなく、二乗、三乗なんです」。二〇〇〇年に三つ子を出産した新居雪絵さん(32)=総社市中央=は語る。子育ては三歳上の長女で経験していたが、医師から三つ子の妊娠を告げられた時、不安から「金づちでたたかれたような」衝撃を受けた。

 「三つ子は総社で初めて」。市役所で聞いた。情報が少なく、手探りの子育て。多胎児の育児書を取り寄せて読んだが、書いてある通りには進まない。食事にトイレ、入浴…。「時間に追われ、毎日何とか生活するので精いっぱい。外出しづらく、一歳になるまでテレビさえ見られなかった。世の中から置き去りになったようだった」

 地元の育児サークルに参加してみたが「一人の場合とは悩みが違う」と足が遠のいた。そんな時、託児サービスを利用したNPO法人・保育サポート「あい・あい」(同市総社)で「同じ多胎児の母親と話したい」と相談。スタッフがサービス利用者に声を掛けてくれ、二〇〇二年に双子と三つ子の母親六人で同くらぶが発足した。

 月一回、「あい・あい」のある同市働く婦人の家に集まり、託児サービスを利用し子どもから離れ、悩みを打ち明けたり、情報を交換。「精神的につらい中、一番の楽しみだった」。同じ不安を抱える母親と出会い、気持ちが軽くなった。現在のメンバーは十一人。昨夏に双子を出産したばかりの女性もいる。

 行政が少子化対策に力を入れる中、メンバーには多胎児の子育て支援の充実を望む声が多い。多胎児は増加傾向とはいえ、出産件数全体からみると1%強とまだ少数派。役所で相談しても、担当者もかかわった経験が乏しく、なかなか満足のいく答えが得られない。医療費や幼稚園、保育所の費用など経済的負担も正直大きい。

 しかし、苦労だけではない。「親として強くなれた」。新居さんは三つ子が五歳になった今、そう言えるようになった。「子どもが仲良く遊んでいるのを見ると、本当に『かわいい』と思う」

 多胎児ならではの喜びもある。「子どもが幼いうちは周囲の目が気になって家にこもりがちだったが、思い切ってベビーカーで散歩させていると、必ず『双子? かわいいね』と声を掛けてくれる人がいた」。吉原由紀さん(43)=同市富原=は小学校六年の双子の母親。“サポーター”として同くらぶに参加し、後輩にこうアドバイスする。

 「大変なのは小学校入学まで。過ぎてしまうと、あっという間。しっかりかわいがってあげてほしい」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年03月10日 更新)

タグ: 健康女性子供

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