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脳梗塞防ぐには 岡山旭東病院 柏原健一部長に聞く 「20代から心掛けを」 気を付けたい食事、運動

「患者・家族のための脳梗塞予防ハンドブック」を手に説明する柏原部長

 この春に社会人デビューした人も多いだろう。働き盛りを迎えた時に「脳梗塞」で倒れないためには、20代からの備えが大切だ。ポイントは「バランスの取れた食事や運動」と、岡山旭東病院(岡山市中区倉田)の柏原健一神経内科部長は指摘する。現状と予防法をおさらいした。



 脳の血管が詰まる脳梗塞は、必要な酸素や養分が脳内に行きわたらなくなる。厚生労働省の人口動態統計(2010年)を見ると、脳梗塞や脳出血などの「脳血管疾患」は死因の上位から3番目で、死者数は約12万3千人。うち約7万3千人を脳梗塞が占めている。

 脳梗塞には3種類がある。(1)血栓(血の塊)が詰まったり動脈硬化で細い血管がふさがったりするラクナ梗塞(2)太い血管の内側にコレステロールの固まりができるアテローム血栓性梗塞(3)心臓からの血栓が流れて来る心原性脳塞栓症―だ。

 (1)では高血圧、(2)では糖尿病や高脂血症が発症に深く関わっている。ちなみに(3)の場合、血栓を作るのは不整脈の一種である心房細動である。

 高血圧、糖尿病、高脂血症…。つまり脳梗塞を防ぐには「まず生活習慣の点検が必要」(柏原部長)で、バランスの取れた食事と運動はその柱になる。

 気を付ける点は、食事=表参照=だと、食べ過ぎずに満腹感を得るために「よく噛(か)む」ことが大事。一人暮らしや単身赴任の人は外食する機会が増えるかもしれないが、脂肪の多い食品や油を多用した料理は控える。

 運動では、動き始めて体内脂肪が燃焼し出すまでの時間も考え、毎日30分程度続ける。腕を大きく振り早歩きするウオーキングや、足腰に負担がかからない水泳がお勧め。

 喫煙は脳梗塞を引き起こす恐れを高めるだけに、新生活を機に禁煙に踏み切りたい。

 予防以外で覚えておきたいのは、発症のサイン。脳のダメージを最小限に抑えるためには「発症から3時間以内の治療開始」(柏原部長)が必要になる。片方の手足がまひしたり、舌がもつれるようだと要注意。本人より家族など周囲が、異変に気付くこともある。

 職場で受けた健康診断の結果は、改善に役立ててほしい。「20、30代でも血圧が高めの人はいる。放置したままだと、50代に入って動脈硬化から脳梗塞を起こすことはありうる」と柏原部長。社会人生活の向こうにある「健やかな老い」のためにも、仕事面だけでなく健康面でも“スキルアップ”を図ろう。



 岡山旭東病院は、脳梗塞を防ぐポイントや発症のサインをまとめた「患者・家族のための脳梗塞予防ハンドブック」を作り、同病院で販売している。1冊税込み600円。

 神経内科の柏原健一部長と河田幸波主任医長が執筆した。イラストや写真を多く載せ、分かりやすく説明している。柏原部長は「若い世代にも読んでほしい」と話している。A4判、15ページ。問い合わせは同病院(086―276―3231)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年04月16日 更新)

タグ: 健康岡山旭東病院

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