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幸せホルモン 光生病院 理事長兼院長 佐能量雄

 先日、ベストセラー「がんばらない」で知られる鎌田實医師が岡山で講演した中で、幸せホルモンであるセロトニンとオキシトシンを紹介した。セロトニンは、笑顔や笑い、「わーきれい」「わーおいしい」と感じることで脳から分泌され、幸福感を味わえる。

 オキシトシンは、授乳中の母親から抽出されたホルモンで、抗ストレスホルモンといわれ、病気にかかりにくくするという。最近、ボランティアの人たちからも多く分泌されていることが判明した。人のために生きることで病気にかからず、おいしい物を食べて幸せと感じて元気になる。まさに夢のような話だが、思わず納得して聴いた。

 健康の大切さは身にしみているはずだが、あくまで健康は目的ではなく、より良く生きるための手段である。「健」は体を高く伸ばし元気がいいこと、「康」は固い筋が入った穀物の殻の意味で、丈夫で危なげないと辞書にある。ところが、私は姿勢が悪い。特に歩く格好は不細工で、靴はかかとの外側だけがちびていた。健康とは、程遠いということになる。

 ある時、尊敬する恩師の靴のかかとがちびていないことに気付き、理由を尋ねたことがある。答えは「ちゃんとしたフォームで歩けば靴はちびんよ!」。その時は半信半疑だったが、いろいろと工夫し、正しい姿勢の歩き方に挑戦してみた。

 現在のところ、かかとから着地し爪先で蹴りだす歩き方で、体重は前より5趾(し)にかける▽顎を引き横ぶれしない▽5趾ソックスを着用―という結論に達し、靴の“外ちび”はほとんどなくなった。これなら「100歳で、自分の足で元気に歩き社会貢献」をする日野原重明医師の境地にも届くのでは、と思っている。

 人生の三楽とは、一つは道を行い心得ちがいをせず、善を楽しむこと。二つは健康で気持ち良く楽しむこと。三つは長生きして長く久しく楽しむこと、という。健康で、長生きして善を楽しもう!

(2012年3月1日付山陽新聞夕刊「一日一題」)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年03月01日 更新)

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