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タイの病院との交流 岡山済生会総合病院名誉院長 糸島達也

 2008年2月に1週間、タイ東北地方の学園都市にあるマハサラカム病院との交換研修プログラムで、岡山済生会総合病院から3人の医師と看護学校教師の計4人でがん化学療法、緩和ケア、看護学生教育などの意見交換に行ってきました。

 このプログラムの芽は1980年末から3カ月間、カンボジア難民救済で、当時の大和人士同病院長一行がタイに滞在したことにあります。92年、片岡和男院長の時に交換プログラムが始まり、交互に数人を派遣してすでに19年がたちます。

 タイでは心からの歓待を受けました。病院を初めて訪問し、多くの職員から並んでタイ式のあいさつを受け歓迎された時にはジーンときました。会話は英語でしたが、終始マンツーマンの案内。副院長宅での歓迎、送別パーティーは民族舞踊で盛り上がりました。また、寸暇を見つけての観光の手配など、すべてに心がこもった歓待は見習うべき点が多いと思いました。各レベルの交流は、何物にも替え難い国際親善と感じました。

 タイには日本と同様、独自の文化と誇りがあるように思いました。日本と似ている点は、米食、仏教、天皇=国王が(象徴として)尊敬されている、固有の文字とカレンダー年をもつこと、靴を脱いで上がる、親切、携帯電話の普及、特有の温水洗浄便座などでした。

 異なる点は、両手を合わせてのあいさつ、両親・先生・お坊さんに絶対服従、おびただしいバイクとそれによる事故、四角い電信柱。食事は香辛料、特に唐辛子がよく効いていました。私たち4人のうち3人は好んでホットな料理を食べ、食べられなかった1人は蚊の集中攻撃に遭いました。このことから私たちは、唐辛子を含めホットな食事は蚊に刺されるのを防ぎ、熱帯地方に多いマラリアから身体を守る作用があるのではないか、と仮説を立てたものです。


(2011年4月21日付山陽新聞夕刊「一日一題」)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2011年04月21日 更新)

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