文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • リウマチ性疾患など治療 手術支援ロボ試作機完成 ナカシマプロペラや東大共同開発  人工関節部の骨切削 精度は手作業以上 09年めど製品化

リウマチ性疾患など治療 手術支援ロボ試作機完成 ナカシマプロペラや東大共同開発  人工関節部の骨切削 精度は手作業以上 09年めど製品化

ナカシマプロペラなどが共同開発した人工関節を埋め込む手術の支援ロボット

 ナカシマプロペラ(岡山市上道北方)や省力機械メーカーのコアテック(総社市赤浜)が、東京大などと共同開発していたリウマチ性疾患などの手術支援ロボットの試作機が完成した。膝(ひざ)関節などに、人工関節を埋め込む部分を自動で切削する。医療機関での臨床試験などを経て、二〇〇九年の製品化を目指す。

 開発グループによると、リウマチ性疾患などの治療では、患者の膝関節や股(こ)関節などのCTスキャナー画像を基に、CAD(コンピューター利用設計システム)で個々の骨格に合った人工関節を設計する。ロボットはこのデータを活用して、人工関節にする部分の骨を切削する役割を担う。切削後に、医師が人工関節をはめ込むことを想定している。

 試作機は高さ約一・七メートル、幅、奥行きともに約一メートル。先端がドリル状の専用工具を上下左右、前後に動かせるのが特長。ロボット分野で高いノウハウを持つコアテックの技術を活用して四台の試作機を製作した。開発グループは「駆動部の改良を重ね、切削精度は医師の手作業以上の水準を実現した」としている。

 通常、人工関節を埋め込む手術は患部周辺の皮膚を切開、医師が手を差し込んで行う。ロボットの場合、切開面を医師が手術するよりも小さくできるため、患者の肉体的な負担軽減と早期回復につながるという。

 現在、東京大大学院工学系研究科・光石衛教授の研究室で、骨の組成に近い樹脂の切削試験を行っている。また、迅速で正確な手術を目指し、ロボットが患部を認識するシステムの開発も進めている。

 開発グループによると、人工関節を埋め込む手術は国内で年間約十万件を実施。高齢化の進展で増加傾向にある。手術を支援する同様のロボットは米国メーカーが販売しているが一億~三億円と高価な上、操作が煩雑なため普及していない、という。

 ナカシマプロペラの中島義雄常務は「簡単な操作性と高い精度を併せ持つロボットに仕上げ、価格も競合品の半値以下にしたい」と話している。

 共同開発は、高いCAD技術を持ち、人工関節を製品化しているナカシマプロペラの提案で東京大、岡山大が参加し二〇〇〇年に着手。〇三年度から三年間は千葉大など産学七社・機関による共同事業として、中小企業基盤整備機構(東京)から補助を受けて研究開発に取り組んだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年03月23日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ