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難病患者ら向け宿泊施設整備へ 岡山大病院、「きなちゃん」募金活用

宿泊施設が整備される入院棟11階の空きスペース=岡山大病院

小比賀姫那ちゃん(家族提供)

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は19日までに、臓器移植や難病治療で遠方から訪れる患者や家族が格安で利用できる宿泊施設を入院棟11階に整備し、2014年にも開所する方針を固めた。重い心臓病のため米国での移植を希望しながら、2年前に亡くなった小比賀姫那(おびか・きな)ちゃん=当時1歳、倉敷市=を救うために集められ、病院に寄付された約7400万円を活用する。

 病院によると、宿泊施設は入院棟11階にある空きスペース(約3千平方メートル)に、少なくとも5部屋設ける。料金は1人1泊千〜3千円を想定しており、宿泊規定や部屋の構造などの詳細は病院幹部や医学部生、外部識者らでつくるワーキンググループが今後詰める。

 計画では、13年から始まる臨床研究棟(9階建て)の耐震工事に伴い、整備した空きスペースに、研究棟内に入っている複数の医局をいったん移転させる。14年春に耐震工事が終わり次第、医局を宿泊施設に改装する。

 姫那ちゃんは09年、拡張型心筋症の一つ、左室心筋緻密(ちみつ)化障害と診断された。唯一の治療法である心臓移植の機会が国内ではほとんどないため、米国での移植を目指し、両親の友人らが「きなちゃんを救う会」を結成。1億800万円の募金が寄せられたが、10年6月に亡くなった。両親らは同年10月、「病気に苦しむ患者さんのためになれば」と病院に大半を寄付。その際、病院側は宿泊施設整備の意向を示していた。

 父親の裕也さん(26)は「地元の皆さんの善意を形に残すことができ、感謝したい」と言い、槇野博史病院長は「ご両親や救う会の皆さんから預かった貴重な浄財。ご意思に沿うよう有効に活用したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月20日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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