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便に尿酸運ぶタンパク質確認 岡山大大学院・森山教授ら

森山芳則教授

外川奈津子さん

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(生化学)と大学院生の外川奈津子さん(同)らの研究グループは、痛風の原因物質・尿酸を腸内の便に運ぶタンパク質(トランスポーター)を突き止めた。痛風になりやすい体質の改善や栄養指導などに役立つ成果という。米国生理学専門誌に掲載された。

 痛風は、尿酸が体内で過剰に作られたり排出がうまくいかない場合に血中の尿酸濃度が濃くなる「高尿酸血症」が続くと発症する。従来は、腎臓から尿としてだけ排出されると考えられていたが、国内の研究者によって小腸と大腸からも便として排出されるとの研究成果が示され、注目を集めていた。3分の2を排出する腎臓のメカニズムはほぼ解明されていたが、残る3分の1を担う腸からの排出の仕組みは分かっていなかった。

 森山教授らは3年前から研究に着手。タンパク質に色付けする「免疫染色法」などでヒトの小腸切片を解析した。それまで存在は分かっていたが、役割が不明だった「NPTホモログ」「NPT3」が腸内でトランスポーターとなり、尿酸を便に運んでいることを確認。関連する遺伝子が傷つくと、トランスポーターがうまく発生せず尿酸が排出できなくなるという。

 関連遺伝子を調べることで、痛風になりやすいかどうかが分かり、食事などを通じた体質改善の指導にもつながる。森山教授は「腸からの尿酸排出の全体像がはっきりとした。研究を続け、新薬開発も含めて痛風の治療に貢献したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月21日 更新)

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