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超高齢化社会でのアンチエイジング 社会医療法人社団十全会心臓病センター榊原病院 榊原敬

 少子高齢化の進む日本では、2010年10月国勢調査で人口1億2806万人(0~64歳9857万人、65歳以上2948万人)が2060年には8674万人(0~64歳5209万人、65歳以上3464万人)になると予測されています。現在の高齢化率23.0%でさえ、年金、医療保険、介護保険の財政問題、独居老人や孤独死などの社会問題が起きていることを考えれば、2060年の高齢化率39.9%(現在の1.73倍)がどういう状況になるのか、強い不安がよぎります。ではいかに健康で、人様の御厄介にならないためには何が必要でしょうか。

 高齢化すると肉体的にも精神的にも老化が起ります。白髪、老眼、皮膚のしわ、筋力の低下、便秘、腰痛や肩関節や膝関節の痛みなどがあり、精神的には頑固になったり、涙もろくなったりします。人間として生を受けた以上避けられないことかもしれません。老化は眼と足から忍び寄ってきます。そして元気な老後を過ごすためには、歩く力を維持すること、食事を噛むことのできる歯を維持することが重要とされています。ここで大切なことは、足の筋力=歩くことは日頃のトレーニングで維持できることです。

 歩くことの有用性は科学的根拠があり、歩行速度が速い人の方が余命が長いこと、外科手術後の合併症が少ないこと、体を動かす人の方が肥満が少なく、動脈硬化性疾患だけでなく大腸癌のリスクも低くなると報告されています。日本人成人の場合、1日のカロリー摂取量は2100キロカロリー、消費量1800キロカロリーとされ、300キロカロリーを貯めこむことが問題とされています。150キロカロリーの消費が歩行(80m/分)30~40分、自転車(平地)30~40分、軽いジョギング20分に相当し、最低でも1日1万歩、有酸素運動20分が必要となります。

 継続は力なりと言いますが、楽しみがないと3日坊主で終わってしまいます。新病院では、駐車場と診療棟の間に歩く距離を置き、(遊歩道のある)芝生の庭を見たり、リハビリ施設を眺められる歩道橋を設置しました。少しでも体を動かす楽しみを見出すことができれば、きっと1日1万歩を歩き続けられると期待しています。超高齢化社会を迎え、元気で心豊かに日々を過ごせるよう、ともに力を合わせて行きましょう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年06月28日 更新)

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