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清潔と不潔 社会医療法人社団十全会心臓病センター榊原病院 榊原敬

 医療の現場では、よく清潔と不潔の区別を重要視します。清潔とは滅菌した状態(すべての微生物を死滅させた状態)か、滅菌できないものでは殺菌した状態(一部の微生物は生き残っているが、クリーンな状態)を指します。不潔とは清潔でない状態すべてを指し、不衛生だけでなく日常の生活状態も含まれます。清潔度から言うと、滅菌>殺菌>日常品>一般の廃棄物>排泄物や血液汚染したもの(不潔=日常品以下の項目が該当)ということになります。新しく就職した職員には、まず最初に何が清潔なのか、どのように対応しないと清潔が保持できないのか、不潔なものの処理はどうすべきなのかについて説明があり、きちんとした区別が理解できるまで監督指導されます。マニュアル通りに運用管理することで、清潔かつ安全に使用するとともに、感染を予防し医療廃棄物を適正に処分することができます。このことが質の高い医療の実現に役立ち、さらに職員自身の身を守ることにも繋がります。

 清潔と不潔を厳密に管理するためには、動線を区別することが望ましいとされますが、現実には難しいこともあります。例えば、納入と搬出を考えた場合にはそのルートを完全には区別しきれず、どうしても交差することがあります。また、地震などが発生した場合、下水用の排水管が損傷し(清潔であるべき)手術室や厨房などに汚水が回り、不潔になる危険性があります。

 今回の新病院では、こうした動線が交差しないよう搬入ルートを区別しエレベーターも別にして、動線の区別を徹底しています。食事の配膳には専用エレベーターを用い、病客さまやその家族の利用は遠慮してもらっています。すべてのエレベーターは目的に合わせて色分けし、目的外の使用を禁止しています(安全を優先すべきと考えています)。さらに、手術室や厨房などは絶対清潔区画として、配水管や排水管をできる限り天井裏に通さない、もしどうしても通さないといけない場合にはその区画の中央をさけ辺縁を通るようにする、地震などで万一配管の結合部がずれても浸水しないよう天井自体を二重に覆い天井から水が回らない対策を講じています。余計にコストがかかっても確実な安全対策を推進しています。もちろん(施設面だけでなく)、運用面で確実に安全を確保するためには、職員だけでなく病客さまやその御家族の協力も必要となりますので、御理解をお願い申し上げます。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年08月17日 更新)

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