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麻酔科医の知名度 岡山済生会総合病院 麻酔科 診療部長 小林洋二

 30年程前、私の婚約者が質問した内容は「麻酔科医ってどんな仕事をするの?」でした。またある看護学校の生徒から質問された内容は「麻酔科の先生ってどこを卒業したらなれるのですか?」でした。 

 現在ではここまでではないにしても、一般に麻酔科医の知名度はあまり高くないように思われます。麻酔科医は、医学部を卒業しなくても麻酔技術専門学校を卒業すればなれるくらいに思われている向きがあります。また仕事に関しても、手術の際に麻酔薬を投与するだけで大したことは何もしていないと思っている人も多いのではないでしょうか。

 麻酔科医は、手術室や集中治療室での仕事が多いため、出勤したらまず麻酔着に着替えます。従って出勤する時は普段着で出勤する人が多いので、一見したら医師らしく見えません。私も学会や病院行事の時以外は殆ど普段着で出勤しています。こんなことも麻酔科医の知名度の低さに関係しているのかも知れません。

 そこで麻酔科医の汚名返上のためにも麻酔科医の話を少しさせてもらいたいと思います。まず、麻酔科医は医学部を卒業しないとなれません(卒業後麻酔科を選択します)。麻酔科医の仕事は、手術の際の麻酔はもとより、集中治療・疼痛外来・救急医療など多岐にわたっています(地域により格差はあるようですが)。手術の麻酔に際しては、患者さんの術前回診(術前評価)に始まり、麻酔法の選択、術中管理(術者が手術に専念できるように呼吸・循環・体温管理などの全身管理を担当)、術後管理(特に疼痛管理)などを行い、患者さんの安全管理・早期回復に努めています。目立たない存在ですが、縁の下の力持ち的な仕事をこなしているのです。そして麻酔科医の特殊技術を生かして集中治療室での患者管理や、疼痛外来・救急医療などにも貢献しています。

 現在日本では、麻酔科医が不足しており、ハードな勤務を余儀なくされています。今後麻酔科医が努力しなくてはならないことも多いと思いますが、麻酔科医の知名度が少しでも高まり、麻酔科医が増えることを期待しています。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年08月20日 更新)

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