文字 
  • ホーム
  • 健康
  • 人間ドック機能評価 県内は9施設認定 

人間ドック機能評価 県内は9施設認定

さまざまな検査結果を見ながら、健康を保つ上での注意点を医師から聞く人間ドック利用者(左)=金田病院

 健康管理の一翼を担う人間ドック。施設側の希望に基づき運営体制を調べて品質保証する「機能評価」制度を、日本人間ドック学会と日本病院会が行っている。詳細な調査を経てお墨付きを得た認定施設は全国で約280。このうち9施設ある岡山県内で、同制度の現状の一端を見た。

 機能評価は2004年に始まった。ハードルは低くない。「受診者の満足と安心」「人間ドック健診の質の確保」など4領域184項目で書類審査を受け、72ある評価観点の全てで5段階評価の3以上を得る必要がある。また、訪問調査員2人の聞き取りにも臨む。

信頼獲得へ 

 真庭市西原の金田病院は05年に県内でいち早く認定を受け、10年に更新した。「ホスピタリティー(もてなしの心)」を重視。女性の乳がんマンモグラフィー検査では、女性スタッフが対応するのも特徴の一つだ。

 「私たちの人間ドックが住民から一層信頼を受けるには、病院外のチェックによる質の保証が必要。一も二もなく認定を目指した」。金田道弘理事長は動機をそう振り返る。

 県内の認定例がなかったこともあり準備は大変で、職員の緊張は大きかった。顕著だったのは訪問調査への備え。同病院健診課は「何を尋ねられるか分からなかっただけに、すらすら説明できるよう必要事項を頭にたたき込んだ」と説明する。

 認定を機に事業所との契約が増え、受診者数も幾分伸びた。認定取得を考える大分、広島、香川各県などの施設が次々見学に訪れたといい、金田理事長は「施設間での信頼を得ることもできたのでは」と話す。

有効は5年 

 認定の有効期間は5年。更新する場合には、金田病院のように再び機能評価を受けなくてはならない。

 岡山赤十字病院(岡山市北区青江)の人間ドック。08年に得た認定は来年3月に期限を迎える。独りよがりの運営にならないように―というのが、認定を得ようとしたそもそもの理由。「外部チェックを受けることで業務改善につなげたい」(宮下雄博健診部長)として更新する予定だ。

 県南部の拠点病院の一つ。それぞれの病気に対応する各種学会の専門医が多数在籍し、必要に応じて行われる精密検査(精検)の後の治療に控えるのも特徴とする。胃の検査では精度向上を狙って、鼻から入れるタイプで痛みが少ないとされる「経鼻内視鏡」も採用している。

 更新をにらみ、精検や再検査を実際に受けた人の数の底上げに腐心する。「決して遜色ない数字」(同病院)が現状ではあるものの、数は多ければ多いほど良いとされるだけに、緊急性が高い場合は電話連絡で受診を促すなど努力している。

資質向上に寄与 

 認定に向けた機能評価への申込数は、全国的に伸び悩んでいる。会員施設数約1600の日本人間ドック学会は「当初は年に60〜100施設が希望したが、現在はそこまでは達していない」と説明する。

 機能評価では35万円(更新時30万円)の「受審料」が必要。労力と費用の割に「受診者数が増えて大きな経済的メリットがあったと感じにくい」(県南部の認定施設)ことは、伸び悩みの一因とみられる。一方で「職員の資質向上につながったとの声も聞く」(同学会)といい、見えない効果もあるようだ。

----------------------------------

日本人間ドック学会などの機能評価に基づく認定施設(岡山県内)

金田病院(真庭市西原)
倉敷成人病健診センター(倉敷市白楽町)
倉敷平成病院平成脳ドックセンター(倉敷市老松町)
倉敷中央病院総合保健管理センター(倉敷市鶴形)
落合病院(真庭市落合垂水)
ESクリニック(津山市津山口)
岡山赤十字病院(岡山市北区青江)
淳風会健康管理センター(岡山市北区大供)
倉敷第一病院(倉敷市老松町)

※認定施設別の評価が掲載されている同学会ホームページによる
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年08月27日 更新)

ページトップへ

ページトップへ