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脳死肝腎移植へ 成功なら国内初 50代女性に岡山大病院

手術前に会見する八木教授(右)=31日午後6時20分、岡山大病院

 日本臓器移植ネットワークは31日、四国地方の病院に頭部外傷で入院していた40代男性が同日午前、臓器移植法に基づき、脳死と判定されたと発表した。岡山大病院(岡山市北区)で1日午前から、50代女性=青森県在住=に肝臓と片方の腎臓を同時移植する。神奈川県内の病院では低酸素性脳症の40代女性も31日脳死判定され、同大病院で20代女性に両肺を移植する。

 移植ネットなどによると、1人の脳死ドナー(臓器提供者)から提供された肝、腎臓を同時に移植する手術は2010年12月、大阪大医学部付属病院が10代女性に実施しようとしたが、肝臓を移植した時点で断念。岡山大が今回成功すれば、国内初の症例となる。

 肝腎同時移植の手術前に会見した執刀医の八木孝仁肝胆膵(かんたんすい)外科教授によると、患者は2000年に患った肝臓の病気から慢性肝不全、慢性腎不全を併発。11年7月に移植ネットへ同時移植を登録した。

 同時移植以外に救命不能な最重症患者のため、自衛隊機で岡山空港へ運ばれた。執刀医ら22人のチームが担当する手術は1日午前6時ごろから開始。2時間半後に臓器が到着し、2日未明に終わる見込み。八木教授は「これまでに何度も腹部の手術を受けており、状態も良くない。極めて難しい移植になるが、全力を挙げたい」としている。

 大藤剛宏肺移植チーフが執刀する肺移植の患者は、異常細胞が肺などで増えるリンパ脈管筋腫症で呼吸機能が低下し、移植ネットに12年に登録。手術は1日午前7時ごろ始め、12時間後に終了する予定。岡山大病院の脳死による肝移植は14例目、腎移植は2例目。肺移植は38例目。

 ドナー2人はいずれも書面で意思表示していなかったが、家族が承諾。脳死移植は法施行後185、186例目。本人の意思不明は81、82例目。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年09月01日 更新)

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