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皮膚科で死ぬことはないだろう! 岡山済生会総合病院  診療部長(皮膚科) 荒川謙三

 「皮膚科で死ぬことはないだろう」と、職業の全く異なる親しい友人から言われます。確かに、一般の方々で皮膚科に掛かろうと思われるのは、皮膚が痒くなった時でしょう。自分で湿疹または水虫と診断あるいはそれを疑った時に受診してくる方が多く、皮膚科開業医では80%近くが、広い意味での湿疹・皮膚炎、真菌症(水虫、たむし等)であるとの統計があります。総合病院ではそれ以外の病気の割合が増えてきます。

 では、その他の病気とは何でしょう。皮膚科で死ぬ可能性のある病気はあるのでしょうか。いくつかありますが、代表的な病気は私が専門とする皮膚癌です。皮膚癌には非常に多くの種類がありその予後も様々ですが、私が実際に治療している皮膚癌は、年間約80例です。しかし、皮膚癌は眼で見ることができますので、他の“内臓癌”に比べると比較的初期の症状であることが多く、死に至らない例が大半です。予後の比較的良好な癌や初期の病変の場合は、病変を完全に取った後の皮膚の欠損をいかにきれいに治すか、それだけを考えて治療することができます。しかし、すでに進行している症例、悪性度の高い癌の場合は治療方針を色々考え、時には組み合わせなければなりません。自分のベストを尽くそう。これ以外にありません。かなり進行して受診されたヒトが必ず言う言葉。「痛くもかゆくもなかったから。」

 皮膚は眼で見えます。誰でも見ることができます。皮膚に現れた変化、すなわち色、形、しこりなど、見て、触れることのできるすべての変化を見る(診る)のが皮膚科です。「これは内臓が原因では?」などと自分で想像せず、まず皮膚科で診察を受けてください。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年10月12日 更新)

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