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新介護保険制度 広島県東部各市町 保険料大幅アップ 地域支援センター開設へ

4月からの地域包括センター開設に向け、打ち合わせを行うセンター職員=福山市

 1日から介護予防などを柱とした新しい介護保険制度が始まる。広島県東部でも介護予防支援の拠点となる地域包括支援センターの開設が進む。一方、65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は、高齢化に伴う利用者増を見込み各市町とも引き上げ、家計を直撃。地域で過ごせるよう新たな介護サービスとなる地域密着型サービスも国が詳細内容を示してから時間がなく、開設準備が遅れている。

 新制度は、要介護認定の要支援を二段階に分け七段階となる。介護を必要とする高齢者の増加を防ぐため、各市町が開設する地域包括支援センターが、要支援者らに対し筋力トレーニングや食事など生活指導を受ける計画を作成。虐待防止をはじめ高齢者の権利擁護相談なども行う。

 福山市は人口三千~六千人ごとに地域を分け、業務を医師会や社会福祉法人に委託する同センターを十五カ所設置。市直営は行わない。同センター三吉町南を運営する市医師会地域ケアセンター(同市三吉町南)は「高齢者に最適なサービスを考え、相談に対応したい」という。

 一方、地域密着型サービスは立ち上がりが遅れている。市は十一地域に分けた日常生活圏ごとに事業者の参入を見込むが、四月の導入時で、通所や短期間の泊まりなど組み合わせた小規模多機能型居宅介護施設は一カ所のみ。介護する家族らの負担軽減へ二十四時間対応する夜間対応型訪問介護はこれからだ。

 市介護保険課は「人員確保など各施設の準備が間に合わなかったのでは。今後、増えていくと思う」とみている。

 一方、介護予防をはじめ制度改正後の詳細判明が遅れ、市などが行う介護事業者向け説明会は年明けにずれこんだ。福祉関係者からは「大きな制度変更なのに、急いで準備しなければならず戸惑う所もある。軌道に乗せるには行政などの十分な支援も不可欠」と不安の声もある。

 さらに各市町とも見直した保険料はいずれも引き上げ。基準月額で福山市の34・2%増の四千六百四十二円をはじめ大幅なアップ、合併時の改定に続く二年連続の上昇も出ており、高齢者にとって大きな悩みだ。

 各自治体とも、基金の取り崩しや低所得者へ独自助成など負担感の抑制に苦心するが、合併時の激変緩和措置がなくなった庄原市東城地域は45・9%増と大幅アップ。同市東城町川東の木島廣志さん(77)は「年金収入が頼りの高齢者にとって保険料の大幅引き上げは負担が重い。家計への影響も少なくない」と心配。

 合併時の強い要望を受け、尾道市因島地域は市より六百八円安くなる独自の保険料設定だが、旧市と比べ21・1%上がる。同市因島三庄町、宮地正義さん(76)は「保険料が安いにこしたことはないが、上がることには変わりない」という。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年04月01日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉

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