文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 新介護保険制度スタート 予防サービス強化 ケアプラン作成に不安も 民間事業者辞退相次ぐ

新介護保険制度スタート 予防サービス強化 ケアプラン作成に不安も 民間事業者辞退相次ぐ

要介護認定結果(図)

棒を使った体操に励む高齢者=岡山ふれあいデイサービスセンター

 1日から新しい介護保険制度が始まった。国が給付額急増の抑制に向けて介護予防に力点を置き、そのサービス拠点として「地域包括支援センター」を置いたのが特徴。しかし、岡山市では予防のための該当者の具体的な選び方などは固まっておらず、国の介護報酬引き下げなどでケアプラン作成を辞退する民間事業者も出るなど不安を抱えたスタートとなった。

 桑野の岡山ふれあいデイサービスセンター。お年寄りが棒を使った体操に励む。従来制度で「要介護1」に認定され、沖元から毎週通う肥塚喜美子さん(88)は「ひざが痛むが、これ以上悪くならないよう頑張っています」と話す。

 新制度は、「新予防給付」と「地域支援事業」という二つの介護予防サービスを導入した。「新予防給付」は比較的少ない支援で日常生活を送れる高齢者向けで、デイサービスでの運動機能向上などが受けられ、従来の要支援者(新区分・要支援1)と、要介護1のうち認知症など心身状態が不安定な人を除く高齢者(同・要支援2)が対象。「地域支援事業」は、今は介護までは必要ないものの体の機能低下などによる虚弱な高齢者(特定高齢者)が対象となる。

 六十五歳以上の五人に一人が要介護認定者という市。介護保険課は「新予防給付と地域支援事業で要支援・要介護認定者数を二〇一四年度までに約二千人抑制する」との目標を掲げるが、認定者を増やさないために欠かせない対象者選定方法はまだ準備段階。

 市は「新予防給付」対象者を約八千三百五十人程度、全要介護認定者の約三割と見込むものの、「地域支援事業」対象者については、要介護認定で「非該当」となった人と、基本健康診査(四十歳以上の人)から掘り起こしていく考えだが、診査受診率はわずか三割。「現時点で何人がサービス対象となるか把握できない。実情に応じ対応していきたい」(保健管理課)というのが現状だ。

 一方、両サービスを受けるための第一歩で、ケア内容やスケジュールなどを定めるケアプランづくりも課題を抱える。

 ケアプラン作成は、市ふれあい公社が一日付で六カ所に設置した「地域包括支援センター」が、市内百八十一の居宅介護支援事業所(民間)に委託する方針だった。しかし、今年一月になって国は要支援者一件当たりの作成料を八千五百円から四千円に引き下げ、十月以降は民間ケアマネジャー一人が行えるプラン作成を八件に制限することを決めた。

 件数制限に加え、単価の安い要支援のプラン作成に対し、四十七居宅介護支援事業所が採算面から受託を辞退。その部分は、同センターが直接行わざるを得なくなった。

 この結果、同センターが作成するケアプラン数は四月が約三百件。要介護認定の更新を迎える人が増え、民間ケアマネジャーの件数制限が始まる十月には約二千二百件、来年三月には四千百件に上る見通しだ。

 同センターの保健師やケアマネジャーらは三十六人。プラン作成を行わず、介護予防などの相談や他機関との連絡調整などを前提とした配置だけに人員不足は明らか。

 「臨時職員を増やすとともに、引き続き民間事業所に協力を求めていきたい」と介護保険課。早期の体制整備が求められている。


ズーム

 介護保険 2000年度に導入され、要介護認定を経て、在宅、通所などのサービスが受けられる。介護の必要度に応じて、4月から要支援1、2、要介護1―5の7段階の新区分になった。サービス費の1割が自己負担、残りを公費と40歳以上から徴収する保険料で賄う。保険から事業者に支払われる介護報酬は3年に1回改定され、今回の報酬改定では全体で0.5%引き下げられた。


 岡山市の介護給付費 2000年度は192億円だったが、05年度は334億円(見込み)、08年度には400億円を超える見通し(介護予防サービス給付など含む)。要介護認定者は00年度の1万3200人から05年度2万4000人に急増。高齢者に占める認定率は19.7%で、全国中核市35市中5位(04年9月、高齢者数18位)で、介護保険料(4760円)は6番目に高い。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年04月02日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ