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低周波電磁波を照射 体内の発生電流計測 岡山大・塚田教授が成功 健康への影響調査に期待

塚田啓二教授

 岡山大工学部(岡山市津島中)の塚田啓二教授=生体磁気=が、低周波電磁波を照射した人の体内で発生する電流(誘導電流)の計測に成功し、三十一日、さいたま市で開かれた日本応用物理学会で発表した。低周波電磁波は送電線や家電製品から発生しており、健康への影響調査につながる成果と期待される。

 電磁波を浴びた体内で電流が発生することは既に知られている。塚田教授は電流がさらに磁界(磁気のある場所)をつくることに着目。電磁波を人体に照射して誘導電流を起こさせ、発生する磁気の強さを高感度のセンサーでキャッチ、それを電流の強さに換算する装置を開発した。

 実験では、照射する電磁波の強さを、家電製品などを扱う日常生活で自然に浴びるとされる微弱なレベル(数マイクロテスラ)に固定。一キロヘルツから徐々に周波数を変えながら、最も低い四〇〇ヘルツまでの電磁波で誘導電流の検知に成功した。

 装置は、心筋の収縮や腹式呼吸など人の生理現象で体内に流れる電流と分離して検知でき、電磁波照射による誘導電流は腹式呼吸で自然発生する電流より約百倍強いことも分かったという。

 塚田教授は「一般家電の電力周波数(五〇または六〇ヘルツ)を検知できるよう精度を高め、複数のセンサーを用いることで電流の流れ方を突き止めたい」としている。



検知は例ない

 田中三郎・豊橋技術科学大教授(超伝導電子工学)の話 低周波電磁波による電流の検知は例がない。電流の強さや流れる経路が分かれば人への影響を調べる手がかりになるだろう。


ズーム

 低周波電磁波 通常1万数千ヘルツ以下の電磁波で、送電線や家電製品の一部から出る。国立がんセンターなどの疫学調査では、電磁波のレベルが高い環境では子供の白血病発症率が2倍以上となったことが報告されているが、世界的な研究でも確かな結論は得られていない。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年04月01日 更新)

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