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HIV感染、6年連続10人以上 岡山県、早期発見呼び掛け

 感染すると生涯治療が必要になるHIV(エイズウイルス)。岡山県内で今年新たに確認された感染者と、エイズを発症した患者は計15人(28日現在)で、6年連続で年間10人以上に上っている。患者・感染者が減らない理由は「HIVへの関心が薄れたため」と県担当者。県は世界エイズデー(12月1日)に合わせ、保健所の検査態勢を強化し、早期発見・治療を訴える。

 HIVに感染すると人体を病気から守る免疫機能が破壊され、さまざまな感染症にかかりやすくなる。完治できる薬は開発されていない。

 昨年の全国の患者・感染者は計1529人で、10年前(953人)の1・6倍に増えている。感染者は20、30代に集中。感染後、無症状の潜伏期間が数年から10年以上続くため、患者は25歳以上に幅広く分布。昨年は53人が死亡したという。

 岡山県では2007年に計10人となって以降、08年には21人、10年は過去最多の22人と増加傾向が続いている。感染者を初確認した1991年から今年までの累計は感染者88人、患者60人。

 一方、感染の有無を調べる検査の受検者は低迷。県内の各保健所で行っている無料検査(匿名)を受けたのは、ピークだった08年の1268人以降、1100人台。専門医がいる県内10カ所のエイズ拠点病院でも状況はほぼ同じという。

 こうした傾向に県健康推進課は「HIVへの関心が薄れ、感染に気付かない人が増えている」と危機感を募らせる。感染に気づかなければ長い潜伏期間を経た後に体調を崩して初めて発症が判明。「それまでに異性間、同性間で感染を広げている可能性が高い」と指摘する。

 早期発見に向け、岡山市保健所は3、4日午後4〜8時の夜間検査を実施。倉敷市保健所は2日に休日検査、18日に夜間検査を行う。県の8保健所・支所も普段より検査日時を増やす。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2012年11月30日 更新)

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