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摂食障害 早期対応を 県立大研究グループが課題抽出

摂食障害の中高生らへの対応について話し合う岡崎准教授(左)と渡辺准教授

 拒食、過食など摂食障害の低年齢化が指摘される中、岡山県立大(総社市窪木)の看護学科教員らの研究グループが、学校現場での早期発見・治療に向けた対策に取り組んでいる。摂食障害は本人の自覚が薄いため重症化しかねない。このため、身近に接する養護教諭へのアンケートから「信頼関係の構築」「医療機関との連携」といった課題を抽出。パンフレットにして学校に配るなど、生徒らの気持ちに寄り添った支援を模索している。

 精神的なストレスや無理なダイエットが原因とされる摂食障害は、若い女性を中心に増加傾向にあるとされる。女子中学生の1・9%が栄養失調に陥るなど専門医の治療や指導が必要―とする厚生労働省の推計もある。

 県立大の岡崎愉加准教授(助産・母性看護学)、渡辺久美准教授(精神看護学)ら8人のグループは2009年1月から摂食障害をテーマに会合を重ね、県内の養護教諭を対象にアンケートなどを行ってきた。

 それによると、回答した141人の6割(84人)が摂食障害に対応したことがあり、その3分の1(28人)は家族に受診を勧めたが理解されない経験をしていた。「本人が病院に行きたがらない」「下手に関わってストレスを増やさないか心配」「通院をやめた後の接し方が分からない」―といった声も多く聞かれた。

 調査結果を受け、小児、神経科医らの協力も得て症状悪化の前に治療につなげる取り組みを検討。最初から摂食障害として関わるのではなく、「顔色が悪いし、体重が減っているので病気かもしれない」と間接的な問いかけで接する▽保健室で週1回程度会い、粘り強く信頼関係を構築▽保護者とも連絡を密にし受診を促す▽医師と継続的に連絡を取り合って病状把握に努めるよう勧める―などの内容を盛り込んだパンフレット500部を12年1月に試作した。

 県内の高校と総社市内の中学校に配布しており、本年度中に活用状況を調べて改訂版を作る。渡辺准教授は「摂食障害の生徒の気持ちにも配慮しながら、家族や学校、医療機関が協力して支援する体制を目指したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年01月08日 更新)

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