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空気乾燥でインフル流行 岡山理科大・大橋准教授ら確認

 季節性インフルエンザの流行と湿度の関係を岡山理科大の大橋唯太准教授(気象学)らが検証している。ウイルスは湿度が高いと生きられず、空気が乾燥すると患者が増えるという従来の学説をあらためて確認。岡山県内では県の最新データ(1月21〜27日)で患者が前週の2倍近くに急増するなど流行期に入っており、予防対策として適切な湿度を保つよう注意を促している。

 これまでに発表された研究によると、インフルエンザウイルスは空気中の水蒸気量(絶対湿度)が多いほど生存率が低下。6時間後の生存率は1立方メートル当たり水蒸気量5グラム以下で35〜66%、9〜11グラムなら3〜5%という。

 そこで大橋准教授とゼミ生は低温や乾燥が流行にどう影響しているか全国での再分析を検討。国立感染症研究所(東京)が毎週発表する都道府県ごとの患者数を気象庁の気温と湿度の統計と照合。新型インフルが大流行した2009年度を除く08、10、11年度の冬場の状況を調べた。

 その結果、ほとんどの地域で流行のピークは絶対湿度が同5グラム以下の期間に発生。気温の低さとも一定の関連性がうかがえたという。年間を通じて絶対湿度が同10グラム以上の沖縄県では流行が確認できなかった。一方、気圧、風速、日照時間との顕著な因果関係は明らかにならなかった。

 一般的な湿度計は、気温が高いほど増える飽和水蒸気量に基づく「相対湿度」を表示。1立方メートル当たり5グラムの絶対湿度を相対湿度に直すと、気温15度で約39%、20度で約29%、25度で約22%となる。大橋准教授は「感染予防には絶対湿度5グラム以上に管理することが有効と考えられる。今後は、気象条件から流行を予測する計算式も編み出したい」としている。

 県によると、県内84医療機関の1施設当たりの患者は最新データで平均27・92人と、前週(15・37人)を大幅に上回り、「警報」(30人超)発令に達する勢いで推移している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年02月06日 更新)

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