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認知症高齢者、地域で見守り 高梁・備中地域局 情報提供しネット化 駐在所や消防団へ 徘徊事故防止図る

 高梁市備中町地区で、認知症の高齢者を地域ぐるみで見守るネットワークづくりが進んでいる。市備中地域局が家族の同意を得て、消防団や駐在所、民生委員に患者の特徴などを情報提供、徘徊(はいかい)などによる事故の未然防止を図る。県も「人間関係が密接な地域の特性を生かした、ユニークな自治体事業」(長寿社会対策課)と評価している。

 備中町地区では二〇〇三年、徘徊していた認知症の高齢者が行方不明となる事例が二件発生した。警察や消防団に本人の特徴などが十分伝わっていなかったため、捜索現場が混乱。一人は遺体で発見され、もう一人も不明のままとなっている。このため旧備中町は徘徊対策連絡会議を設け、善後策を検討。〇四年の合併後、市備中地域局が認知症の住民啓発を進め、今年一月から見守り事業を開始した。

 同地域局住民福祉課の職員が患者の家族に面接し、病状や職歴、徘徊歴などを記した「見守り依頼票」を作成。個人情報提供に関する承諾を得た上で、消防団との連絡会議の際、口頭で情報を伝える。駐在所や民生委員にも連絡、日常の様子を気に掛けてもらうなどの見守りを依頼する。

 備中町地区の要介護認定者のうち、徘徊の可能性がある認知症患者は四十七人(〇四年十月現在)。これまでに七十歳代の男性二人の同意を得て、見守りを始めている。江草光政・市消防団副団長(前備中方面隊長)は「事故の未然防止が主な目的だが、万一行方不明になっても、正確な情報を共有していれば、行動を予測することでスムーズな捜索ができる」と期待する。

 同地域局は備中診療所の協力を得て、認知症の早期受診や患者の見守りを呼び掛けるちらしを全戸配布するなど、啓発活動も推進。同局住民福祉課は「事故を防ぐためにも、家族が患者の情報を地域に知らせやすい環境づくりを進めたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年04月12日 更新)

タグ: 介護高齢者福祉

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