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難病「メラス」治療へタウリン大量内服 川崎医科大教授ら医師主導治験準備

砂田芳秀教授

 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)の砂田芳秀教授(神経内科学)らの研究グループは、国が指定する難病のミトコンドリア脳筋症の一種「MELAS(メラス)」の患者に、体内で不足しているタウリンを大量に内服してもらう治療法に取り組んでいる。保険適用を目指し、近く薬事法に基づく医師主導治験を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、年内にも着手する方針。

 メラスはヒトの細胞内に共生するミトコンドリア遺伝子の変異によって発症。主な症状は筋肉が痩せて力が弱くなったり意識障害やけいれんで、言語障害やまひなど後遺症が残る発作が度々起こり、心不全になることもある。死に至る危険性があるが、有効な治療法はほとんどなく、国内患者は約300人と少ないため、採算面などから製薬会社が治験を行う可能性は低いという。

 タウリンは体内でさまざまな働きをし、健康維持に欠かせない物質。砂田教授らは、健常者ではミトコンドリア遺伝子に関係するRNA(リボ核酸)にはタウリンが結び付いているが、メラス患者にはなかったなどとする国内の研究成果に着目した。

 2002年から患者2人に強心剤として承認されている国内製薬会社のタウリン剤を1日12グラムずつ服用してもらう治療を自由診療で開始。その結果、発作は10年以上起きず心不全の症状も改善、明らかな副作用はなかった。

 治験に向け、薬剤としての承認作業も担うPMDAと相談中。計画では全国の患者10人に服用してもらい、有効性をさらに確認して早期の保険適用を目指す。砂田教授は「患者さんの救命と負担軽減に向け、申請作業や協力病院の確保を急ぎたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年03月17日 更新)

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