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肺がん遺伝子治療 15人中11人に効果 岡山大グループ臨床試験結果 副作用問題なし

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の田中紀章教授(消化器・腫瘍(しゅよう)外科学)と同大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義助教授らのグループが、一九九九年三月から二〇〇三年七月まで行った国内初の肺がん遺伝子治療の臨床試験結果が十一日、明らかになった。十五人の末期のがん患者のうち、十一人で腫瘍の増大が止まるなど効果があり、副作用はほとんど問題ないレベルだったという。

 同グループは「遺伝子治療の効果はあった」として、最新の米がん治療専門誌ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジーで発表した。

 治療では、がん細胞の異常な増殖を防ぎ、細胞を死に導く役割を持つがん抑制遺伝子「p53」を、運び役のウイルスに組み込んだ治療薬を患部に注射。腫瘍が縮小するかどうかや副作用などを調べた。岡山大が中心となり、東京医大、慈恵医大(東京)、東北大(仙台)の計四施設で実施。患者は外科、化学療法、放射線などでは治らない四十代から七十代が選ばれた。

 改善がみられたのは十一例。最も効果があったのは五十代の男性で、がんは投与前に比べ半分以下に縮小。十例で腫瘍の増大が止まり、うち二人は九カ月以上その状態が持続した。逆に二例で腫瘍が増大、症状の悪化や肺炎などで判定不能なケースも二人いた。

 副作用は、十四人の患者で発熱があったが、一時的な症状にとどまったという。

 〇五年五月までに十五人全員ががんの進行や転移で死亡したが、六人が治療終了後一年以上生存し、最も長い人は三年九カ月だった。

 藤原助教授は「肺がんの増大は阻止でき、治療の効果はあった。今後は患者数を増やし、治療薬の濃度を高めた臨床試験を実施したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年04月12日 更新)

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