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遺伝子「REIC」治療 進行がんにも効果 岡山大大学院の公文教授確認

REICを使って実施している臨床研究の成果を発表する公文教授

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の公文裕巳教授(泌尿器病態学)は30日、同大が発見したがん治療遺伝子「REIC(レイク)」を使って2011年から行っているヒトでの臨床研究で、患者自身の免疫力を高めて転移した腫瘍をも攻撃する「がんワクチン」の効果があることを確認したと発表した。顕著な症例では直接投与したがんは消滅し、他の転移がんの細胞も大幅に減少した。

 全身に転移して外科手術では取りきれない患者や、通常の抗がん剤が効かない進行がんなどで、新たな治療の選択肢となる可能性がある。

 臨床研究は11年1月にスタート。これまで前立腺がんの男性20人に行い、REICの濃度が高いほどがん細胞を死滅させる効果が大きく、副作用もほぼないなど、安全性も確認できたという。

 リンパ節5カ所余に転移し、抗がん剤が効かない60代男性への臨床研究では、腹部にあった最大の腫瘍(直径最大5センチ)にREICを2回注射。このがんは死滅し、別の場所に転移したがん細胞も大幅に減った。公文教授は「薬剤を注射した患部以外のがんも攻撃する『究極の遺伝子治療』が実現に近づいた。研究を加速させたい」としている。

 岡山市内で開かれた、遺伝子治療の研究者が集う「東アジア遺伝子治療推進懇話会」(同大など主催)で発表した。懇話会では、日中韓の約100人が出席し、中韓に広がるREIC研究などについての報告があった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年03月31日 更新)

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