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いきいき健康 メディカルフィットネス 生活習慣病にならないために

福田哲也・糖尿病内科部長

( 写真上)【治療前】体重69キロ、HbA1c7.3%、内臓脂肪面積144.7平方センチ、(写真下)【3カ月後】体重61キロ、HbA1c5.9%、内臓脂肪面積88.7平方センチ

メディカルフィットネス

 国民の健康意識が向上し、今や健康ブームです。テレビやラジオをつけても、新聞の綴(と)じ込みを見てもいわゆる健康食品や健康器具のコマーシャルが蔓延(まんえん)しています。

 どこも悪くない元気な人ならマラソンなどして体力をつけることができますが、年を取るとどうしても持病が多くなり、健康に良いと分かっていてもどんな運動をしたらよいのか悩んでいる方も多いと思います。また健康維持のため1日1万歩以上の歩行が推奨されていますが、日常生活で毎日それを実行することはなかなか大変だと思います。そういった方々にお勧めなのが、メディカルフィットネスです。

 メディカルフィットネスは、医療法の42条に定められている疾病予防施設で、医師の指導のもとに病気の改善や生活習慣病の予防のために運動を行う施設です。当院でもこの施設を併設しています=写真参照。メディカルフィットネスでは医師からメディカルチェックを受け、運動しても良いという許可が出れば、どの程度の運動をしたら良いかという運動処方箋を発行してもらい、それに基づいて運動を行います。

 施設では運動時にいつも医師や専門スタッフがそばにいてくれるので、過去に心筋梗塞や脳卒中の既往のある方でも安心して運動ができます。室内プールもあり、膝関節に問題がある方でも無理なく運動ができます。また運動前後で血圧測定を実施し、運動時には専門スタッフがサポートをして安全に運動ができるよう配慮しています。

 メディカルフィットネスは糖尿病、高血圧、脂質異常症など生活習慣病の予防に効果的です。それに多くの方々と一緒に運動しますので、仲間ができて長続きするので認知症の予防にもなるかもしれません。

 ここでメディカルフィットネスが有効であった方を紹介します。

 Aさんは48歳女性です。糖尿病で外来を受診され、グリコヘモグロビンA1cが7・3%と血糖コントロールは不十分でした。身長155センチ、体重69キロで腹囲が94センチもあり、メタボリックシンドロームも合併していました。Aさんに糖尿病の食事療法を指導し、運動も勧めたのですが、自宅で実施するのは難しいとのことで、メディカルフィットネスを勧めました。

 Aさんはメディカルフィットネスに週2―3回通うことになりました。するとみるみる体重が減り、開始後3カ月で体重が8キロ、グリコヘモグロビンA1cも5・9%と糖尿病が著明に改善しました。Aさんの治療前と3カ月後の内臓脂肪の状態を腹部CTで比較すると=写真参照、内臓脂肪面積(正常は100平方センチ以下)が治療前144・7平方センチであったのが88・7平方センチに減っていました。内臓脂肪が減ったことが、体重が減った大きな原因と考えられました。

 このように糖尿病には食事療法に運動を加えると効果的です。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年04月08日 更新)

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