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岡山画像診断センター・加地充昌院長に聞く  がん ミリ単位で発見可能 産学官が協力

加地充昌院長

 岡山県内の財界人や企業が出資し、岡山市大供の岡山大所有地を借り受けて建設された診断・検査施設「岡山画像診断センター」が17日、オープンする。産学官共同による全国でも珍しい医療プロジェクトで、微小ながんを発見できるPET(陽電子放出断層撮影装置)など最新鋭機器を備える。加地充昌院長に施設の概要や今後の取り組みなどを聞いた。

 ―設立の背景は。

 画像診断は、病気を診断する入り口となるだけに非常に重要だ。だが、県内の放射線科専門医は約七十人と不足しているのが現状で、診断能力も病院によってばらつきがあった。全国屈指の診断・治療技術を持つ岡山大病院(岡山市鹿田町)も機器不足や老朽化で、外来患者がMRI(磁気共鳴画像装置)で最長二カ月、CT(コンピューター断層撮影装置)で二週間程度の検査待ちになることがあった。こうした状況から、画像診断に特化した医療機関の設立を目指し、岡山大医学部放射線科の金澤右教授らが同大や県内の財界関係者、企業などに呼び掛け実現した。

 ―運営母体は。

 二〇〇五年三月にセンターを管理する会社を設立し、同七月に運営に当たる医療法人を発足させた。〇四年秋から出資者を募ってきたが、結果的に県内の企業十数社から協力が得られ、立ち上げることができた。建設用地は岡山大からの借り受け。大学法人化で所有地が民間貸与できるようになり、今回はその全国初適用となった。県の高速インターネット網・岡山情報ハイウェイも利用し岡山大病院などと画像を送受信する。まさに産学官共同プロジェクトだ。

 ―設備・体制面はどうか。

 医療スタッフは、岡山大医学部放射線科の専門医三人が常勤し、放射線技師を九人配置した。設備面も非常に充実している。PETとCTを融合した世界最高水準のPET/CT二台、超電導MRI二台、六十四列マルチスライスCT一台を導入し、PET用の薬剤を製造する機器もある。ミリ単位のがんの発見が可能になり、初期段階で発見が難しいすい臓がんや肺がんも効果的に診断できるようになるだろう。待合室は太陽光をふんだんに取り入れ明るい雰囲気。検査は一般外来ではなく、岡山大病院をはじめ、県内医療機関からの紹介患者を一日約百人受け入れる予定だ。

 ―今後の展開は。

 将来的にはセンターと県内各病院を岡山情報ハイウェイでくまなく結び、遠隔画像診断をしていきたい。送ってもらった画像を私たちが診断し所見を返信するといったシステムだ。岡山大医学部との共同研究や学生の教育にも携わっていく。

 ―県民からの期待は大きい。抱負は。

 完成したセンターは、私たち放射線科専門医が「こんな画像診断センターがあればいいな」と思う理想の形になっている。プロジェクトが実現できたのも各方面からの協力があってこそ。ぜひ成功させ、全国に誇れるセンターにしたい。


 かじ・みつまさ 岡山大病院放射線科助手などを経て、1991年1月から2006年3月まで三豊総合病院放射線科医長。岡山大医学部卒。愛媛県出身。48歳。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年04月14日 更新)

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