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脱!メタボ 自分に合った食事力と体力づくり 吉沢祐子・心臓病センター榊原病院保健師主任

吉沢祐子・心臓病センター榊原病院保健師主任

野菜がたっぷりの主菜・副菜の例

 「私、そんなに食べてないんですよ」。病院の外来で話を聞いていると、実際に1日3食の量が多い人は、少ない傾向にあります。どちらかというと3食以外の間食(嗜好(しこう)品や菓子パンなど)が影響している方が多いように感じます。

 「母親もふっくらしていたから、私も年を取って同じような体形になってきたなぁくらいで」

 「中高生の子供たちが食べ盛りで肉食が多くて。あの頃の勢いがそのまま残って食べとるなぁ」

 「セルフうどんやファミレスとか安いし、カロリーがそこそこのもんを食べとった」

 病気でもない限り、食事の中身や量を意識して食べることは少ないようです。

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪型症候群)は動脈硬化を起こす危険な状態を言い、「脱!メタボ」にはダイエットが効果的です。例えば、最近人気の「低炭水化物ダイエット」。炭水化物を減らすと、確かにエネルギーがグッと減り、体重が早く落ちるのでパッと飛びつきたくなるダイエットです。しかし炭水化物の足りないエネルギーを、体の脂肪を分解して補おうとするので、長く続けると筋肉量まで減ってしまい、筋肉質で引き締まった体づくりにはなりません。

 また減らしたご飯の分だけ、おかず(脂肪分・タンパク質)が増える傾向になり、「長期間続けると心筋梗塞や脳卒中になる危険性が高まる」という報告(ハーバード大などのグループ=英医学誌)もあります。

 「ご飯を食べて、おかずを少なめにした方がコントロールが良くなる人が多いですよ」と外来でお話しすると、「えっ? 今まで逆をしていました」と驚く人も多く、自分自身の身体の状況に合った食事の取り組み方について相談されることをお勧めします。

 さて実際には、どういった食事が良いのでしょうか? 昔からのお膳(ご飯、主菜、副菜プラス1日1回程度のお汁物)をイメージするとわかりやすいと思います。

 脂肪が多くついた身体は食べたものを有効に活用できませんから、食べたものを使うことができる身体づくりが重要になってきます。何でも満遍なく、量に気をつけて食べると良いです。

 ◆筋肉を鍛えるのに必要な栄養は、炭水化物(ご飯、麺、食パンなど)とタンパク質(肉、魚など)

 ◆体のバランスをとるには、野菜、果物、ビタミン

 ◆うるおいとして、少しの脂肪(特定保健用の植物油なども少しにします)

 筋肉への刺激が入ると、さらに脱!メタボの身体づくりができます。例えば、フィットネスクラブで健康運動指導士から「歩くときに腕を引くことを意識して」といった具体的なアドバイスを受けると、それがエネルギー消費につながります。今、やっていることプラスアルファのあなたの身体に合った活動を提案してくれるアドバイザーを見つけ、一緒に健康的な身体づくりを始めてみませんか。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年05月06日 更新)

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