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骨細胞が造血幹細胞の動き制御 岡山大、血液疾患病態解明へ

谷本光音教授(左)、浅田騰医師

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の谷本光音教授(血液学)と浅田騰医師(同)らの研究グループは、骨を形作っている骨細胞が、血液のもとになる造血幹細胞の動きを制御していることをマウスを使った実験で突き止めた。白血病などさまざまな血液疾患の病態解明につながる成果という。6日付の米科学誌セル・ステム・セルに掲載された。

 造血幹細胞は骨の中心部にある骨髄に多く含まれ、白血球などになる過程で腫瘍化すると白血病になる。治療は、提供者の骨髄にある造血幹細胞を薬剤を使って血液中に誘導して数を増やし、これを採取して患者に移植する方法が主流。多い時には3回行われるが、効率を高められれば回数が減り、提供者の負担が軽くなる。

 グループは年間40〜50例を扱う中で、造血幹細胞との関連が不明だった骨細胞に着目した。骨細胞を破壊したマウスに誘導薬剤を投与したところ、血液中の造血幹細胞は増えずに通常のマウスの約10分の1しかないことを確認。骨細胞がその動きに関与していると結論付けた。

 さらに、骨細胞は造血幹細胞を骨髄中にとどめている別の細胞の働きを管理。誘導薬剤の投与で管理能力が弱まり、造血幹細胞が移動しやすくなることも確認した。

 谷本教授らは「誘導薬剤を使うと、骨が痛む副作用が提供者に起きるが理由は不明。骨細胞との関連を研究し、痛みの解消にもつなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年06月07日 更新)

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