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訪問専門の歯科衛生士育成 岡山県、3年間で100人

 岡山県は本年度から在宅訪問を専門とする歯科衛生士の育成に乗り出す。3年間で100人を育て、寝たきりの高齢者宅などで治療の必要性を判断したり、ケアの方法を家族に指導し、口の中の健康づくりをサポート。まず50人が研修を積み、来年初めからの事業スタートを目指す。県のこういった取り組みは全国的にも珍しいという。

 県は2010年9月に県歯科医師会内に「歯科往診サポートセンター」を開設、県内421診療所の歯科医師が患者の要請に応じて往診している。昨年度は167件の相談に対し、140件訪問したが、日中の診療が忙しくて患者との都合が合わなかったり、中には治療が必要なかった例もあるという。

 こうした事態を受け、県は迅速に患者の自宅に赴いて状態を確認できる歯科衛生士が必要と判断。今後も高齢化で在宅ケアのニーズは高まると予想されることから、高齢者で目立つ誤嚥(ごえん)性肺炎を防止するための口腔(こうくう)ケアや、食べ物をかんでのみ込む機能を保つ訓練も在宅で積極的にできる環境をつくっていくことにした。

 8月に希望者を公募し、秋ごろに10回程度の専門研修を実施。登録した歯科衛生士のリストは同センター以外にも介護保険申請の窓口となる市町村や病院、施設などにも置き、随時紹介してもらう。歯科衛生士の派遣は無料とする。

 事業は県歯科医師会と県歯科衛生士会、岡山大病院に委託し、国の地域医療再生基金を活用する予定。

 県健康推進課は「口腔ケアは長期の在宅療養には欠かせないが、自宅近くに対応できる歯科医がいないケースもある。専門性の高い歯科衛生士を育成し、ケアレベルの底上げを図りたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年06月09日 更新)

タグ: 高齢者福祉

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