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指の関節曲げるリハビリ補助具 岡山大大学院・岡教授ら開発

リハビリ補助具の試作器。指サックが内側に巻き込まれるように引っ張られ、こわばった関節を曲げる。小型ボンベ(左)からの空気圧をタイマー(中央)で制御する

 岡山大大学院保健学研究科の岡久雄教授(医用工学)らのグループは、けがの後遺症で指が曲がらなくなった人向けのリハビリ補助具の開発を進めている。骨折をギプスで固定した後などに関節がこわばる「関節拘縮(こうしゅく)」の患者が対象。推計では国内で年間約1万人が発症しているといい、来年度中の実用化を目指している。

 試作器は、空気圧で動く人工筋の力で指サックを内側に巻き込むように曲げ、こわばった関節をほぐす仕組み。タイマー制御で一定時間ごとに反復運動でき、親指を除く1〜4本を同時に動かせる。指の付け根の関節に負荷が掛かりにくいのが特長という。

 元院生の作業療法士、中山淳さんが勤務先の関西労災病院(兵庫県尼崎市)で患者に使ってもらい、データを収集。既存の補助具より痛みが軽く、短期間で関節の動く範囲が拡大する傾向が見られるという。中山さんは「さまざまな症状に対応でき、一人で装着可能。痛みも少ないと好評」と説明する。

 原理は2007年に特許出願し、昨春には医療・介護用品製造のダイヤ工業(岡山市南区大福)へ技術移転した。同社の小川和徳研究部門長は「基本構造は完成した。小型化を進め、14年度中の製品化を目指す」と言い、岡教授は「自宅で簡単にリハビリできる。多くの患者のQOL(生活の質)向上に役立ってほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年06月15日 更新)

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