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皮膚細胞移植でパーキンソン病改善 岡山大大学院グループ、マウスで確認

浅沼幹人准教授

宮崎育子助教

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科の浅沼幹人准教授(神経薬理化学)と宮崎育子助教(同)らは、パーキンソン病にしたマウスの脳内に皮膚の色に関係するメラニンを作り出す細胞「メラノサイト」を移植すると症状が改善し、効果が約3カ月間持続することを確認した。患者自身の細胞を使って「自家移植」する新たな治療法につながる可能性があるという。

 パーキンソン病は、脳内で情報伝達を担うドーパミンを作り出す細胞が減るなどし、手足の震えや歩行障害などが起きる病気で、10万人に150人の割合で発症。ドーパミンを補うため、薬剤を投与して治療する。だが濃度調節が難しく、治療効果を長期間にわたって持続させられないのが課題だった。

 グループは、脳内のドーパミンと皮膚のメラニンが、いずれも同じアミノ酸からL―ドパという物質になった後に作られることに着目。メラニンを作り出すメラノサイトを脳に移植すれば、ドーパミンが増えると想定した。

 脳の片側だけをパーキンソン病の状態にしたために、その反対方向に回旋運動を続けるマウス4匹で研究を実施。脳内の患部にメラノサイトを移植したところ、回旋運動は10〜30%まで減少。効果は3カ月後まで続いたという。成果は米科学誌に掲載された。

 浅沼准教授は「今後はヒトのメラノサイトをマウスに移植し、その有効性を検証していきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年06月25日 更新)

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