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悪性軟部腫瘍治療に力 岡山大病院整形外科、新薬も活用

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)整形外科は、筋肉や脂肪などにできる悪性軟部腫瘍の治療に力を入れている。多くの症例経験に基づく的確な切除手術に加え、新たな抗がん剤である分子標的薬も活用。患者のQOL(生活の質)向上につなげている。

 同大病院によると、悪性軟部腫瘍の国内患者数は約1500人。軟部腫瘍は良性と悪性があり、MRI(磁気共鳴画像装置)や採取した組織を顕微鏡で調べる生検で確定診断する。腫瘍の“性格”に合わせ、患部切除や抗がん剤、放射線治療などを組み合わせるが、不用意な切除が再発や拡大を招くこともあるという。

 同大病院には関連学会の治療指針づくりを主導した尾崎敏文整形外科教授ら専門医が3人在籍。良性、悪性を含めた年間患者数は約300人という。

 尾崎教授らは約3千症例の経験を基にMRIや生検で腫瘍の範囲を特定、2センチ以上の余裕を持って切除する治療法を実践する。患者ごとの症状に合わせ、既存の抗がん剤や放射線治療を並行する。

 日本を含む世界13カ国で治験が行われ、昨年11月に販売が始まった新しい分子標的薬も導入。尾崎教授は「確実な診断と適切な治療がなければ悪性軟部腫瘍には対応できない。少しでも『悪性』と疑われる場合は専門医への受診、紹介をためらわないで」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年07月05日 更新)

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