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大豆発酵食品 テンペで血糖値低下 岡山大グループ実証 糖尿病改善に期待

松浦栄次助教授

 県内で生産・加工が盛んな大豆発酵食品テンペに、特定の血糖の値を下げる働きがあることを、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の松浦栄次助教授(細胞化学)らのグループがヒト試験で実証した。糖尿病予防・改善への効果が期待され、新たな健康食品の開発につながる成果として注目される。

 県の産学官連携組織「バイオアクティブおかやま」から委託を受け、二〇〇四年に研究に着手。ヒト試験は岡山大医学部疫学研究倫理審査会の承認を得て、〇五年九月から十一月に行った。

 大学生や会社員らボランティア五十六人に、テンペを四週間連続で毎日五十グラム、煮たり焼いたりして食べてもらい、血液中の糖や脂質濃度を測定した。

 その結果、糖尿病診断の指標の一つで、食後血糖といわれる糖化アルブミン濃度が、ほぼ全員で四週間後から下がり始め、六週間後の検査では平均約4%減少。動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール(酸化LDL)も低下した。

 テンペには血管を強くしたり、老化を防ぐ効果があるといわれているが、糖尿病予防・改善につながる可能性を初めてデータで示した。

 松浦助教授は「より詳しい成分分析を進め、体内での作用メカニズムを明らかにし、健康食品や糖尿病治療薬の開発につなげたい」と話している。


効果的なデータ

 独立行政法人食品総合研究所・津志田藤二郎食品機能研究領域長(食品化学・機能学)の話 これまでテンペに関するヒト試験はあまり行われておらず、効果的なデータが得られたのは興味深い。今後の研究に期待したい。


ズーム

 テンペ ゆでた大豆にハイビスカスなどにつく「テンペ菌」を混ぜて発酵させたもの。納豆と製法が似ているが、においや粘りはない。インドネシア原産で、日本には1980年代に伝えられた。90年代に県内の中小企業などが共同で商品化したのが最初とされ、現在では県内約20社がテンペや加工製品を製造。消費は年々伸びているという。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月03日 更新)

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